最近になって、ラップ口座という商品の申込者が増えているそうです。年内に運用残高が1兆円を超える可能性もあるのだとか。
■ 「ラップ口座」1兆円目前 株価乱高下で低リスク運用に需要、退職者中心に人気(SankeiBiz)
新聞記事のタイトルにもありますが、退職者に人気があるようですね。
Contents
ラップ口座とは
ラップ口座というのは、どういう金融商品なのでしょうか。一言であらわすなら、金融機関に運用を任せてしまうタイプの金融商品と言うとわかりやすいでしょう。
顧客がすべき作業は、投資を始める段階で運用方針を金融機関話し合うことだけです。その後は、金融機関が顧客との間で決めた方針に従って、運用してくれるわけです。
あとは顧客としては、定期的に運用状況をチェックするだけです。運用上特に問題が無ければその運用を継続しますし、何か問題がるようなら運用方針についての話し合いを持つことになります。
金融機関によって違いはあるでしょうが、大雑把に言うと大体こんな所です。
ラップ口座は富裕層向けのサービス
上の説明を見ると分かるように、ラップ口座と言うのは元々は富裕層向けのサービスです。まとまったお金が無いと、運用を依頼することもできません。
ただ、ファンドラップという投資信託を使ったラップ口座が登場し、比較的利用しやすいサービスになってきています。投資信託に運用商品を絞ることで、コストを下げているのでしょうね。
まあ、最低金額が下がったとは言え、ファンドラップを利用するには数百万円台の資金は必要ですけどね。庶民でも何とか手を出せるレベルまで引き下がったのは確実です。
ちなみに、今回の記事だと退職者が多いということです。退職でまとまったお金が入ってきて扱いに困った人が頼るサービス、という感じなのでしょうね。
専門家が投資するなんて素晴らしいサービスのような気がしますが…
さて、専門家が自分に代わって投資してくれると聞くと、大変素晴らしい商品のように感じますよね。でも、実際のところはどうなのでしょうか?
結論から言ってしまうと、プロが運用するからと言って、運用が上手くいくとは限りません。これは、年金や投資信託の運用を見ればよくわかります。
投資信託の運用では、人間が運用するよりも、日経平均などの連動するように機械的に投資した方がうまく行くという調査があるくらいです。
また、厚生年金基金は運用がうまく行かなくて、大変にことになっているというニュースはご存知の方が多いでしょう。専門家が運用しても、こんなものなのです。
効率的に分散投資をするという意味では、ラップ口座のようなサービスは一定の意味があるでしょう。でも、過度な期待はしない方が良いと思います。
手数料が高いんだよね
この商品で一番気になるのが、手数料の高さです。
例えば、投資信託で運用するファンドラップの場合、当然ですが投資信託に関する手数料は普通にかかります。その上、ラップ口座自体の手数料も取られるわけです。
ある会社のファンドラップの説明を見たら、トータルで年間運用資産の3%程度の手数料がかかることが分かりました。はっきり言って高すぎる手数料です。
率直に言って、これだけ手数料を取られると、投資がうまく行く可能性は小さくなります。なにせ、長期金利が1%をきるような時代ですからね。3%なんていう手数料を上回る運用をするには、かなりリスクの高い運用をしないといけません。
もともと、ラップ口座と言うのは、超がつくほどの富裕層のための商品でした。一人当たりの運用額が大きければ、手数料の率を引き下げることは簡単ですからね。
しかし、数百万円単位や数千万円単位のお金だと、手数料を高めに設定しないといけないのです。金融機関としても、そうしないと割に合わないのです。
要するに、そもそもちょっと無理があることをしていると考えると分かりやすいでしょう。うまく行く確率が低いのは当然とも言えます。
経済状態にもよりますが、長期的にみて元本割れをする確率も低くなさそうです。
成功の確率を高めたければ手数料の安い投信を使った分散投資がいいでしょう
運用の手数料を下げることを考えるなら、自分で少し分散投資を勉強して投資することをおすすめします。ETF やらインデックスファンドを組み合わせて運用する方が、うまく行く確率は高いと思われます。
というのも、こういう方法を取れば、手数料を大幅に引き下げることができるからです。それに、運用方法としても、プロがやっていることと大差はありません。
もっとも、分散投資について正しく理解するには、多少の数学のスキルが必要ですけどね。それに、初心者向けの投資本には、うそも多いです。この点はちょっと悩ましいですね。
もう少し楽をしたければ、バランス型の投資信託を利用するという手もあります。バランス型の投資信託を使えば、一本の投資信託でラップ口座と同じような投資効果が得られるでしょう。
自分でETF やインデックスファンドを組み合わせることを考えると、若干手数料はかかりますけどね。
まあ、何にしても、手数料が高いラップ口座はあまりおすすめできませんん。何となく良さそうという理由だけで選ばないようにしたいものです。
ラップ口座がうける理由も分からなくはない
ここまで書いたような理由で、ラップ口座を利用するのはあまりお勧めできません。少し勉強するだけで、成功する確率を高めることができるからです。
とは言え、ラップ口座を魅力的に感じる人の気持ちも、分からなくはありません。自分で勉強しなくてもプロが全部やってくれるというのは、非常に魅力的ですよね。
また、投資についいて勉強するとなると、一体どれほどの時間をかけて勉強すべきなのかわからない人が多いでしょう。更に言うと、何から手をつけて良いかすら分からないすらかなりの割合に上るのではないかと思います。こういうところも、人に任せたくなる原因なのでしょう。
また、プロに任せられるというのは、自分の責任回避につながる感じがして気楽な面もあります。自分のお金とは言え、数百万円、数千万円のお金を自分で運用するとなると、プレッシャーを感じる人も多いでしょう。それを人に任せてしまえれば、かなり気楽ですよね。
それに、投資について詳しくない人は、ラップ口座の手数料が高いのかどうかの判断ができないでしょう。ラップ口座が良いサービスに見えてしまうのは、致し方ないところがありそうです。
こんなふうに考えると、使ってみたくなる人がいるのは、自然なことだと感じます。
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ちなみに、手数料等を考慮すると、iDeCo の窓口金融機関にはネット証券がお勧めです。興味がある方は資料請求から。

投資信託では金融機関はどこを使う?
投資信託を使って資産運用をするならSBI証券がおすすめです。取り扱い本数が2,500本以上とかなり多く、顧客満足度も高い証券会社だからです。
投資信託の積立をして長期的な資産形成をする場合も、やっぱりSBI証券が良いでしょう。銀行や信用金庫からの自動引き落しに対応していて、とても便利です。月々100円から積立てられるのもメリットですね。
ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。
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