30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと| こういう本は時間がたってから読むと面白いですよ

30代からはじめる投資信託選びでいちばん知りたいこと」という本を読みました。モーニングスターという会社の社長をされている方が書いた本ですね。

2年位前に書かれた本で、タイトル通り長期の投資信託運用について書かれています。比較的若い世代を対象としているので、今後20年を見据えて投資しましょうねと言うようなスタンスで書かれています。

この本のスタンスは…

この本の最大の特徴は、運用方法に対する独特の提案でしょう。率直に言って、かなり癖が強い本だと思います。基本的には、著者はゴールドと新興国の投資信託が良いと思っているようですね。

その一方で、借金まみれの日本はぜんぜん駄目だから、投資対象から外した方が良いというスタンスです。また、先進国の政府も借金が多いので、これらの国の株式や債券もあまり良いとは思っていないようですね。

ただ、最終的には、先進国と新興国が半々の比率で入ったポートフォリオを紹介しています。このあたりが妥協点だったのかな。新興国だけに投資しろとはさすがに言えないでしょうから。

あと、ゴールドも良い投資対象だと思っていたようですね。ゴールドをポートフォリオに組み込むことを勧めています。

投資の常識を無視したトンデモ本

率直に言って私には、この本は投資の常識を全く無視したトンデモ本の類に思えました。肩書きは立派だから信じる方も多いと思うのですが、投資をする上で大事なポイントがまるで考慮されていないのです。

正直に言うと、途中で読んでいられなくなってしまいました。内容があまりにアレで。

もちろん、投資信託の専門家を名乗るだけあって、興味深い点もあるのですけどね。それを補って余りあるおかしな記述があったのです。

根拠も書かずにトンデモ本だなんて書くのは、いくら何でも許容されないでしょう。そこで、いくつか例を挙げてみましょう。

市場価格が将来性を織り込み済みだという事実を無視している

既に書いているように、この方は成長力がある新興国に投資するのが良いと考えているようです。先進国と同じ比率を投資することを勧めています。

「成長力が強い=良い投資対象」という考え方は、非常に分かりやすいロジックです。でもこれって、一つ重要なことを無視しているんですよね。それは何かと言うと、市場価格は将来の成長を既に織り込んでいると言う事実です。

新興国に成長する余地があるなんてことは、それなりに投資をかじった人なら誰でも承知しているでしょう。ということは、市場価格を形成する段階で、将来の成長はかなりの部分織り込まれていると考えるのが自然です。新興国の成長は、株価や債券価格に既に反映されているわけですね。

その証拠に、新興国が成長すると聞いて、今更ビックリする人は少ないですよね。少なくとも、世界に目を向けて投資をしている人なら、誰でも知っている話です。

要するに成長力があるというだけでは、直ちに投資対象として優れていると言うことにはならないわけです。皆が思っている以上に成長力があるのだと考えるのなら、投資対象にはなりうると思いますけどね。

国の借金と政府の借金を混同している

もう一つ大きな問題が、政府の借金を国の借金として説明している部分です。

日本の政府が比較的大きな負債を抱えているのは、誰も否定しないでしょう。負債の額をグロスで考えるのかネットで考えるかで、問題の大きさは違ってくるでしょうけどね。どちらにしても、問題が無いわけではありません。

ただ、政府の借金が多いからと言って、日本が駄目だと言う言い方は、あまりに短絡的です。というのも、国全体で考えたら、日本は債権国ですから。

要するに、民間部門を無視して政府部門の債務が大きいといっても、そんな議論には大した意味はありません。

もちろん長期的に考えたら、日本政府の財政規律は何とかしないといけない問題ですけどね。政府の借金が多いから日本はおしまいみたいな議論は、いくら何でも幼稚なのです。民放テレビのニュース番組レベルです。

もう一つ言うと、株価には日本政府の赤字懸念も成長率の低さも反映されています。ですから、その意味では、新興国の株式と大きな違いは無いのです。

今後の株価のパフォーマンスを決めるのは、現在の予想に対して実態がプラスなのかマイナスなのかと言う部分です。これって投資の基本だと思うんですけどね。

ちっと補足をしましょう

この本の著者は、新興国と日本を見て、新興国の方が将来性があるから積極的に投資すべきだといっています。でもこれは、完全に間違った考え方です。これは次のような例を考えると分かりやすいでしょう。

あなたは投資対象としてA社の株式かB社の株式への投資を考えているとします。Aは大きな会社ですが、経営状態が悪く、最近の株価はピーク時の3分の1程度になっています。ここ数年は赤字経営が続いています。一方、B社は成長企業です。時代の流れにも名乗り、毎年増収増益を繰り返しています。

この2つの会社AとBを比べた場合、どちらが有利だと思いますか。B社と考えた人は、この著者と同じ間違いをしています。正解は、この情報だけで判断するなら有利不利は無いと答えるべきでしょう。

理由は既に述べたとおりです。A社の将来の赤字経営は、株価に既に織り込まれています。B社の将来の高成長も同様です。

ということは、A社が黒字に転換すれば、株価が一気に上がる可能性もありますよね。逆に、B社が今期の増収増益を達成したとしても、市場の予想よりも小さければ株価は下落します。

これは、国際的な投資でも同じことです。新興国が成長しているから、投資に有利かというと、単純にそんなことは言えません。

その他にも気になる点が

このほかにも、気になる点は数多くありました。上にも書きましたが途中で読むことを挫折したので、すべてを挙げることは出来ませんけどね。

例えば、新興国へ投資資産の5割を振り分けることに対するリスクは、ほとんど語られていませんでしたね。本当にリスク計算をしてモデルポートフォリオを示したのか、かなり疑問があります。

また、金を10%含むポートフォリオを推奨していましたが、その根拠もいま一つ分かりませんでした。何となくキリが良いところで10%と決められていたような気がします。

もう一つ書くと、日本株を全く持たないと言う判断もよくわかりません。

銀行預金などは間接的に日本国債を買っているようなものです。ですから、日本債券に投資しないのは理屈としてわかります。でも日本人は円建て資産を多く持っているからという理由で、日本株まで放棄してしまう合理性が分からないのです。単純に日本政府の借金云々と言う話だけなのかなあ。

この手の本は数年立ってから読むと面白い

さて、この手の癖が強い本は、数年経ってから見直してみると面白いことが多いです。大胆な予想があっているのか外れているのかをチェックするのが興味深いのです。

本を書いた当時は説得力があったことでも、数年経っていると状況は全く違っていますからね。

これに関しては結果を見てしまうのが一番早いでしょう。新興国株式と先進国株式のインデックスファンドと、TOPIX、金連動のETF のここ2年の値動きをグラフで比較してみました。Yahoo!ファイナンスのチャートを利用しました。

青のラインが新興国株式で、赤のラインが日本を除く先進国株式、黒のラインがTOPIX、緑のラインが金価格連動のETF です。

これを見て分かるように、著者がご執心だった新興国株式のパフォーマンスはいま一つです。金価格も同様に横ばいといった感じですね。

その一方で、借金が多くて成長余力が無いというスタンスだった日本株やら先進国株式は、なかなかのパフォーマンスを示しています。

もちろん、たった2年のパフォーマンスで、著者の主張を全否定する気は無いですけどね。2年前に思っていたのとだいぶ違う姿なのは事実でしょう。

自称専門家が書いた本にしては、やっぱりちょっと粗いよね

定性的に見ても、新興国への投資は良いことばかりではありません。端的な例は中国でしょう。国内問題山積みで、これまでのような成長は期待しにくい状況になっています。

また、中東やアフリカでは、内戦状態になっているような国も多いですしね。ワールドカップとオリンピックを控えるブラジルでも、貧富の格差は重要な問題になっているそうです。コンフェデレーションズカップでの抗議運動は大きなニュースになりましたよね。

成長が期待されている分、問題が大きくなると、新興国の株価は大きな下落をする可能性があるわけです。そもそも、成長要因も不安要素も株価には織り込み済みです。何か大きな変化でもない限り、先進国と比べて格別に有利と言うことも無いんですよね。繰り返し書いていますけど。

ここまで見てきたように、投資信託の専門家を自称する人が書いた本にしては若干内容が粗いのは否定できないでしょう。あるいは、投信には詳しいけど、投資には詳しくないと言うことなのかなあ。

まあ、なんにしても、参考程度というスタンスでに読むのが良いのでしょうね。

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