郵貯銀行が、NISA を意識して、取り扱う投資信託の入れ替えを行うのだそうです。今回の目玉は、リスクコントロール型ファンドという種類の投資信託を取り扱うことのようです。
具体的には、日興アセットマネジメントのスマート・ファイブという投信がリスクコントロール型に該当するのだそうです。そして、ゆうちょ銀行のサイト内では、このスマート・ファイブがNISA での運用に適していると書いています。
今回加わる新商品の中でも、ファンド側で市場環境に合わせて資産配分をリバランスしてリスクを低減しながら長期的な収益の積み上げを目指すリスクコントロール型ファンド「スマート・ファイブ」は、2014年1月から開始される少額投資非課税制度(NISA)を機に投資を始める方にぴったりのファンドです。
■ 本日からゆうちょの投資信託商品ラインアップに新しい商品が加わります!
~NISAで投資を始める方にぴったりのファンドもご用意しました~
http://www.jp-bank.japanpost.jp/news/2013/news_id000956.html
より詳しい資料を読むと、スマート・ファイブの特徴は、次のように説明されています。
主として、収益が期待できる5 つの資産を投資対象とし,基準価額の変動抑制効果を高めながら収益を追求することをめざして、5 資産の配分比率の定期的な見直しを行うファンド。決算回数は、毎月決算型と年1回の1年決算型。ファンド側でリバランスするためNISAの非課税枠を効率的に活用することが可能。
酷い文章。
こういう文章を読むと、自分が頭が悪いのではないかと思ってしまいますよね。でも、悪いのは向こう側のような気がします。はっきり言って、何が書いてあるのかさっぱり分かりません。
まず、これを読んで、リスクコントロール型ファンドと呼ぶ意味が分かりません。目一杯向こうの意図を汲み取って読むと、資産の配分比率を投資環境によって機動的に変えるという事が売りになっているようです。それでリスクをコントロールすると言いたいのかな。
まあ、そう解釈すれば一応筋は通りそうです。、基準価額のボラティリティを小さくすることを優先するから、リスクコントロール型ということですね。でも、この文章だけだと、そこまでは読み取れませんよね。この解釈で正しいのかどうかすら、よくわかりませんから。
そして、なぜこの投信を選ぶとNISA を有効に使えるのかも分かりません。ファンド側でリバランスするから、投資信託を解約してリバランスする必要が無いと言いたいのかなあ。確かに、途中売却すると、NISA では不利に働くこともありそうですからね。
でも、リバランス重視だったら、バランス型の投信を使えば良い話ですよね。もっというと、NISA 以外の口座などを使って、違う投信を買い足すことでリバランスしても良さそうです。NISA の上限金額を考えれば、そういう選択もあるでしょう。
というか、リバランスが出来るからNISA に向いているという私の推測が、あっているのかどうかすら定かではないんですけどね。何にしても、ゆうちょ銀行のサイトの情報を読む限り、以上のように推測してみることしか出来ませんでした。
日興アセットのサイトに言ってさらに混乱
もう少し詳しく調べようと、日興アセットのサイトも見てみました。そうしたら、何をしたいのかよけいに分からなくなりました。
先ず投資対象ですが、日本国債、海外債券、グローバル株式、グローバルREIT、金の5つに投資するのだそうです。そして、「各資産の基準価額への影響度合いが、5資産の間で概ね均等になるような資産配分戦略」を取るのだとか。
率直に言って、この日本語の説明が全く分かりません。理解できる人が、どれだけいるのでしょうか?
そもそも、基準価額への影響度合いを均等にするってどういうことなのでしょうか?具体的に何を指しているのか、よくわからないんですよね。なんていうのかなあ、説明が理論的じゃないんです。
影響度合いがリスクを指しているのなら、ボラティリティ(変動の大きさ)を考える事になります。でも、そう考えるのもちょっと変なのですよね。
日本国債のボラティリティを考えると、仮に超長期の国債で運用しても、他の資産に比べてそれほど大きくならないはずです。何と言っても、為替リスクがありませんからね。
ということは、各資産の基準価額への影響度合いを同じにしようと思えば、ほとんど日本国債で占めないといけなくなりますよね。でも、それだったら、投資信託の手数料なんて払うのはもったいないことです。最初から国債を買えば良いでしょう。
結局、日本国債中心の投信みたいです
これらの疑問を解消するために、運用レポートもチェックしてみました。その結果、大部分の資産を超長期日本国債で運用していることが分かりました。あとは、大体同じようは比率で持っているみたいですね。
これを書いている時点の最新のレポートだと、資産の構成比は次のような感じです。
日本国債
日本超長期国債マザーファンド:64.6%高金利海外債券
高利回りソブリン債券インデックスファンド:8.8%グローバル高配当株式
グローバル・ハイインカム・エクイティ・ファンド アンヘッジド・クラス:8.9%グローバルREIT
グローバル・リアルエステート・ファンド(適格機関投資家向け):8.3%
金
ゴールド・マザーファンド:8.8%その他:0.6%
これだけ安全運転の投信をNISA 口座で運用するメリットって何だ?
これを読むと、やっぱり最初の方の疑問がまた出てきます。日本国債中心の安全運転の投信を、NISA の口座で買うメリットって何なのでしょうか。
NISA のメリットは、所得税の免除です。でも、儲からない限りは所得税を免除しようがないんですよね。この投信はかなり保守的ですから、大きく儲かるとはとても思えません。
なぜNISA 向けにこの投信を投入したのか、ゆうちょ銀行の思惑がさっぱり分かりません。
手数料が高い
保守的な投信であることは、実はもう一つ問題を含んでいることを意味します。どんな問題かというと、たいして儲からない可能性が高い投信なのに、手数料が高いのです。
ゆうちょ銀行の資料によると、この投信の信託報酬は「年率1.412125% 以内」とあります。現在の10年物の国債の利回りが0.8%前後でしょうから、長期金利中心の運用では手数料分も稼げないことになります。
15年以上の超長期の国債を運用して、初めて手数料とトントンくらいのレベルまで持っていくことが可能です。
ということは、超長期の国債を中心に運用している時点で、この投信が儲かる可能性はほぼ無いと考えて良いはずです。少なくとも、これを書いている時点の投資環境では。
はっきり言って、これだったら、最初から超長期国債を買えば良いんですよね。少なくとも、高い手数料を払って運用するような話ではないように思えます。
繰り返しますが、ゆうちょ銀行はなぜこの投信を取り扱おうと思ったのでしょうか。本当に疑問です。
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