銀行や証券会社の窓口に行って、どの投資信託を買うべきかという相談をする人がいます。投資信託の入門書や雑誌でも、こうしたことを勧めている場合があります。
こうした行為は一見慎重で正しい行動のように思えます。専門家の意見を聞いて購入することで、良い選択が出来ると考えられるからです。
でも実は、この行為はあまり賢い選択ではないのかもしれません。なぜかというと、顧客にとって有利な商品ではない投資信託を勧められることが多いからです。顧客ではなく金融機関に有利な商品を勧められるのです。これは別のページにも書いたとおりです。
投資信託の購入を銀行や証券会社に相談することに関して、具体的な例をまじえて補足したいと思います。
投資初心者に豪ドル建て債券の投信?
金融機関の窓口での実例は質問サイトなどを見るとわかります。
例えば次のページの例では、豪ドル建ての債券に投資する投資信託を勧めています。具体的には、「みずほ豪ドル債券ファンド【コアラの森】」という投資信託ですね。ちなみに、質問した人は元本割れが怖いといっているような人です。1
率直に言って、この投資信託を勧めた金融機関が何を考えているのか、私にはさっぱり分かりません。投資信託のメリットは、一本の投資信託で幅広く分散できることです。それなのに、十分に分散できない豪ドル債券だけの投資信託を勧めているのです。
また、豪ドル債に投資するということは、通貨を分散することもできません。その意味では、為替のリスクも大きいと考えて良いでしょう。
また、オーストラリア一国の債券が中心になるでしょうから、カントリーリスクも分散することができません。オーストラリアが大きい問題を抱えると、債券価格も大きい影響を受けてしまいます。
はっきり言って、この方が勧められた投資信託では、本来の投資信託のメリットが何も活かせていないのです。また、元本割れが心配な人なのに、為替のリスクがかなり大きい投資信託を買わされているわけです。
この投資信託を全くの初心者に勧めるなんて、はっきり言って意味が分かりません。ある程度の相場観をもったような人が、自分の責任で選ぶような投資信託でしょう。
ついでに言うと、この投資信託の手数料は必ずしも安くありません。信託報酬が運用資産に対して年1.3125%も取られるのです。オーストラリア一か国の債券に投資するだけでここまで高い理由はさっぱり分かりません。
債券投資を選ぶのならインデックスファンドで分散すれば良い
そもそも元本割れが心配なら、この投資信託は絶対に買うべきではありません。日本国内の債券の投資信託でも買って、安全に運用するべきでしょう。これだって元本割れのリスクはありますけどね。
どうしても外国債券の投資信託が良いのなら、為替ヘッジがある債券の投資信託を選べば良いでしょう。そうすることで、リスクはずいぶん小さく出来ます。
もう少しリスクが取れるとすれば、外国債券に投資するインデックスファンドを利用する方が良いはずです。同じ外国債券の投信でも、より分散投資ができますし、手数料が安いはずです。オーストラリア一か国に集中しないので、通貨もカントリーリスクも軽減できます。長期投資を考えているのなら、明らかに優れた選択です。
自社系列の投信を売りたがる傾向が
今回販売した投資信託を見ると、会社の思惑が分かります。
まず今回の投資信託を作ったのは、みずほ投信投資顧問株式会社という会社です。そしてこの投資信託を取り扱っているのは、みずほ銀行とみずほ証券に限られます。
つまりこの投資信託を販売するということは、自社と資本関係の強い投資信託会社の投資信託を販売することなのです。これはグループ全体で見れば販売会社と投資信託会社の両方で手数料を取れるわけです。「みずほ」という単位で見ると、非常に有利な売り方なわけですね。
でも、このことは私たちから見ると、疑義を感じないわけにはいきません。なぜかというと、本当はもっと有利な投資信託があっても、それを紹介していない可能性が大きいからです。
誰がどう見ても、顧客の利益よりも企業利益を優先しているように感じますよね。こんな所に相談する価値があるのかどうかは、本当に考え物です。
率直に言って、金融機関にすれば良い鴨にしか見えないでしょう。
もう一つ付け加えると、顧客ニーズに合致していない投資信託を売っている可能性が大きいのも気になります。
世間では債券の投資信託と言うと、安全なイメージを持つ人が多いようです。特に、投資経験が浅い人だとそうでしょう。
しかし、外国債券中心で運用する場合、為替の影響が大きいのです。各国の政治状況などが変われば、2割とか3割程度為替が動くことは珍しくありません。特に、通貨を発行している国の政治経済が不安定なら、そのリスクはさらに大きいでしょう。
金融機関の営業スタッフが、こうした事実を知らないはずはありません。ということは、リスクが大きいことを知った上で、安全な商品のように見せかけて販売しているように思えるのです。
まあ、この点に関してはあくまで推測ですけどね。投資初心者といわれる人が外国債券の投資信託を買っているところを見ると、そう思わざるを得ません。
投資信託での資産運用を考えるなら、その前にiDeCoの検討を
投資信託での運用を考えているあなた。その前にiDeCo は活用していますか?
iDeCo なら、投資信託を使った資産運用ができる上に、有利な節税の仕組みもあります。条件が整えば、年間数十万円単位の節税になる人もいます。この有利な仕組みを使わない手はないでしょう。
ちなみに、手数料等を考慮すると、iDeCo の窓口金融機関にはネット証券がお勧めです。興味がある方は資料請求から。

投資信託では金融機関はどこを使う?
投資信託を使って資産運用をするならSBI証券がおすすめです。取り扱い本数が2,500本以上とかなり多く、顧客満足度も高い証券会社だからです。
投資信託の積立をして長期的な資産形成をする場合も、やっぱりSBI証券が良いでしょう。銀行や信用金庫からの自動引き落しに対応していて、とても便利です。月々100円から積立てられるのもメリットですね。
ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。
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