繰上償還と言うのは投信の安楽死のようなもの

投資信託には繰上償還というものがあります。繰上償還というのは、例えるなら、投資信託を安楽死させると言うことです。予定されていた償還日より前に、投資信託の運用を止めてしまうのです。

運用している資産は現金化され、投資家に返還されます。ですから、ビックリするほど不利なことではありません。

ただ、せっかく時間をかけて検討して買った投信なのに、途中で勝手に「もう運用できません」と言われてしまうのです。あまり気分が良い話ではないですよね。新しい運用先も探さないといけませんし。

運用が上手くいっても繰上償還はある

ちなみに、仮に運用が上手くいっているような場合でも、繰上償還は起こりえます。例えば、「ING・トルコ株式ファンド」と言う投資信託。この信託は最近繰上償還が決まったようです。しかし、パフォーマンス自体はそれほど悪くはありませんでした。

2011年9月8日の設定以来で見ると、分配金を再投資していた場合、基準価額は1.5倍くらいには増やせていたのです。2年ちょっとでこのパフォーマンスなら、どう考えても合格点でしょう。

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しかもこの期間に、トルコでは大きな市民暴動がありました。そのときに株価も大きく下げています。その状況でもこの程度のパフォーマンスを保ったのです。

逆に、基準価額が1万円を下回っても、存続し続けるような投信も少なくありません。単純に運用結果だけではないわけです。

純資産総額が増えないと利益が出ないから仕方がない

それでは、繰上償還が行われる最大の要因はなんでしょうか。

答えは簡単で、投資信託にお金が集まらなかったからです。「ING・トルコ株式ファンド」の場合は、2013年9月末時点で、純資産総額が2億円しかないようです。

はっきり言って、純資産総額がこの程度だと、繰上償還せざるを得なかったのでしょう。

年200万円以下の売り上げだと、どうにもならない

今回のケースで、投資信託会社(委託会社)の取り分がどのくらいなるのか、ざっくり計算してみましょう。

この投信の信託報酬は税込みで年率1.89%です。ということは、信託報酬としては年間に400万円もないわけです。人一人雇えない程度の売り上げにしかならないわけですね。

しかも、信託報酬の取り分の約半分は販売会社のものです。ということは、投資信託会社(委託会社)の取り分は、年間200万円も無い事になります。

さすがにこれだと、続けようと言う気にはならないですよね。投資家を集められなかったのが、繰上償還の最大の要因です。

純資産総額が小さい投信は避けておいた方が無難

純資産総額が小さい投資信託は、存続するのが難しいわけです。ですから、繰上償還という最終手段をとらざるを得ないわけですね。最初にも書きましたが、いわば安楽死です。

逆に言うと、純資産総額が大きい投資信託は販売会社にも投資信託会社にもメリットになります。ですから、どんなにパフォーマンスが悪くても生き続けるのです。

実際、たいしてパフォーマンスが良いわけではないのに、ずっと続いている投資信託と言うのも存在します。個別の名前は挙げませんけど。

とにかく、投資信託を選ぶ時の基準として、純資産総額と言うのは大事なポイントです。手数料の次くらいに大事なポイントだと思います。必ずチェックしてから買うようにしましょうね。

最低でも10億円以上の投資信託を選ぶようにしましょう。率直に言うと、10億円でも心もとないですけどね。

少なくとも純資産総額が10億円以下だと、いつおとり潰しになっても不思議ではありません。約款上も純資産総額10億円か10億口を基準にしているところが多いようですし。


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