分配金が大きいほうが良いのか小さいほうが良いのかというのは、疑問に思っている人が多いようです。質問サイトを見ていたら、次のような趣旨の質問が載っていました。
投資信託では「分配金を出さない投資信託を選んだ方が儲かる確率が大きいという話を聞きました。これに関していくつか質問があります。
- 分配金を出さないというのは、累投型の投資信託という事なのでしょうか
- 分配金がゼロだと、投資の意味がないのでは無いでしょうか
- 分配金が無いとどうして儲けやすいのでしょうか
この方は「累投型」1 という言葉を知っているぐらいなので、がんばって勉強している人なのでしょう。それでも、全体像が見えていないと、なかなか投資信託は理解しづらいようですね。
そもそも分配金を出さない投資信託がある
まず、この質問者が誤解している点があります。それは、そもそも分配を行わない投資信託も多いという点です。そういう分配しない投資信託を選べば良いというのが、この方が聞いたアドバイスなのでしょう。
ちなみに累投型というのは、あくまで、受け取った分配金を自動的に再投資するだけです。ですから、分配は「ある」ことになります。つまり、分配なしと累投型は完全に別のものなのです。
分配金がゼロでも儲かる可能性はある
次に2つ目の「分配金がゼロだと、投資の意味がない」という部分も、完全に誤解です。これを理解するために、まず基礎知識から確認しておきましょう。
投資にはキャピタルゲインとインカムゲインの2つの利益があります。
キャピタルゲインというのは売却益のことです。投資信託で言うと、買ったときの基準価額より売ったときの基準価額が高ければ利益が出ます。これがキャピタルゲインです。
一方のインカムゲインは簡単に言うと、利子や配当による収入のことです。投資信託で言うと、分配金のことですね。
仮にインカムゲインがゼロでも、キャピタルゲインがあれば、投資する意味はなくなりません。ですから、「分配金がゼロだと、投資の意味がない」という意見は完全に誤解であるといえるわけです。
そして、インカムゲインを出さない事により、インカムゲインを貰った場合以上にキャピタルゲインが増えるのなら、キャピタルゲインとして受け取る方が賢いことになります。
分配金は自分から運用する資金を減らしているだけ
最後の分配が無いほうが儲け易いのは何故という疑問については、次のように考えると分かりやすいでしょう。
まず分配金というのは何なのか確認してみましょう。
実は分配金というのは、運用資金を投資家に返す行為に他なりません。ただ投資家にお金を戻しているだけなのです。
ということは、分配金を出すと、運用する資産が減ってしまいます。つまり、ちょっと極端な言い方をすると、分配をするというのは運用資産を減らす行為なのです。実際、投資信託の基準価額も分配の分だけ小さくなります。
投資信託の基準価額というのは、基本的には運用によって増えていくものと考えられます。しかし分配金で返されてしまった分は、運用する原資がなくなるわけですから増やすことが出来ません。ということは、分配金を出すとその分損をするのです。潜在的に増えるはずだったお金が無くなってしまうのです。
もちろん、投資信託の基準価額は上がるものばかりではありません。下がるものもあります。ですから、あくまで、確率的には将来的に基準価額が上がることが多いという話ではありますけどね。
分配金が良くない理由はもう一つあります。分配金は所得税と住民税の課税対象になることがあるのです。運用資金として残しておけばかからなかった税金が、分配金として受け取るとかかってしまうのです。これは分配を貰うデメリットと言えるでしょう。
ちなみに、累投型を使って再投資しても、所得税や住民税はかかります。ですから仮に累投型でも、分配をする投資信託自体が不利ということが言えます。
- ちなみに、累投型というのは、分配金を自動的に再投資するタイプの投資信託のことを言います。 [↩]
投資信託での資産運用を考えるなら、その前にiDeCoの検討を
投資信託での運用を考えているあなた。その前にiDeCo は活用していますか?
iDeCo なら、投資信託を使った資産運用ができる上に、有利な節税の仕組みもあります。条件が整えば、年間数十万円単位の節税になる人もいます。この有利な仕組みを使わない手はないでしょう。
ちなみに、手数料等を考慮すると、iDeCo の窓口金融機関にはネット証券がお勧めです。興味がある方は資料請求から。

投資信託では金融機関はどこを使う?
投資信託を使って資産運用をするならSBI証券がおすすめです。取り扱い本数が2,500本以上とかなり多く、顧客満足度も高い証券会社だからです。
投資信託の積立をして長期的な資産形成をする場合も、やっぱりSBI証券が良いでしょう。銀行や信用金庫からの自動引き落しに対応していて、とても便利です。月々100円から積立てられるのもメリットですね。
ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。
スポンサードリンク
スポンサードリンク
関連した記事を読む
- 分配金が大きいETF を売りたいんだね| でも、分配金が大きければ有利というわけでは無い
- J-REIT は分配金が多い| これって有利なことなの?
- 投資信託の特別分配金って何?毎月分配型の投資信託とどう関係するの?
- 2,000万円を10年で1億円に増やすことが出来るのか?| 「捕らぬ狸の皮算用」とはこのこと
- 分配金とは| 個人投資家に儲かっていると錯覚させるツールになっているような…