新光US-REITオープン(愛称:ゼウス)は儲かる投資信託なのか?

前のページに書いたように、これを書いている時点で一番規模が大きい投資信託は新光US-REITオープンという投資信託です。ちなみに、この投資信託には、「ゼウス」という愛称が付いています。1

さて、この新光US-REITオープンは投資するに値する投資信託なのでしょうか。売れているということは、何か優れたところがあるのでしょうか。

ちょっと考えてみましょう。

参考にしているインデックスには負けている

この投資信託はベンチマークを設定していません。しかしながら、運用報告書ではFTSE NAREIT All Equity REITs インデックス(配当込み)という指標と比較する形でグラフを示しています。ちなみに、分配金は再投資したものとしてグラフが作られています。

直近1年の部分だけしかグラフになっていませんが、参考指標と比べると、パフォーマンスは若干劣るようですね。年率1.6524%という信託報酬がかかっているので、この分だけパフォーマンスが悪いと考えるのが自然な判断でしょうか。

REIT に投資するだけの投資信託で、1.5%を超える信託報酬というのは、確かにちょっと高い印象はあります。これはこの投資信託に投資するときに、気になる点といってよさそうです。

さらに言うと、この投資信託を買うには、最大3.24%の販売手数料がかかります。100万円買うと最大で3万2400円の手数料がかかるということですね。

この販売手数料も、かなり大きな負担と考えて良いでしょう。

二重にかかる手数料

手数料に関して付け加えておくと、実際には手数料はさらに高くります。なぜかというと、REIT を運営するのにも手数料がかかるからです。

私たちに見えているのは、新光US-REITオープンの手数料の部分だけです。しかし見えない手数料として、投資しているREIT に対しても手数料を払っていることになるのです。

要するに、投資信託2本分の手数料を払わないと、新光US-REITオープンを持つことはできないのです。これはかなりのデメリットと言えるでしょう。

ちょっと避けておいたほうが無難かな

これらの手数料を考えると、この投資信託への投資はちょっと躊躇してしまいます。私だったら、違う投資信託への投資を考えます。

手数料というのは投資信託選びで最重要といってもいい事項です。普段投資信託について考えていない人にはわかりにくいかもしれませんけどね。

ですから、手数料が高いというだけで、投資対象から外れてしまう事も多いわけです。

個人的にはETF をおすすめします

さて、新光US-REITオープンを外すとなると、代わりに何を買えば良いのでしょうか。

どうしてもアメリカのREIT への投資をしたいのであれば、REIT に投資をするETF を使うというのが合理的な方法かもしれません。具体的には、「iシェアーズ 米国リート・不動産株ETF(ダウ・ジョーンズ米国不動産)」というETF を利用することが出来ます。

ちなみに、このETF は0.46%+税という信託報酬です。新光US-REITオープンと比べると、3分の1程度の手数料で済むことになるわけです。

ETF の買い付けにも手数料はかかりますが、それでも、新光US-REITオープンよりは安く付く可能性が大きいです。

特に不動産である必要が無ければ、この投資信託のほかにも様々な投資信託が利用できます。もう少し手数料が少ない投資信託を探してみると良いでしょう。

毎月分配型の投資信託なので銀行や証券会社が売りやすいと想像できる

さて、新光US-REITオープンという投資信託は、何故ここまで売れたのでしょうか。率直に言って、そこまでの魅力は感じないんですよね。

パフォーマンスなどを見ていると、すごく悪いとは言いませんけどね。でも、日本一売れている投資信託としては、かなり違和感があるのです。

何故こんなに売れたのでしょうか。

一つ考えられるのは、毎月分配型の投資信託だから売りやすかったという可能性です。毎月分配型の投資信託は、運用資金を毎月返すだけの仕組みです。はっきり言って、多くの投資家には全くうま味がありません。

でも、セールストークに組み込むと一定の力を発揮するようなのです。毎月利息が払われるというようなイメージを与えるトークをするようですね。

米国の不動産市場の回復でパフォーマンスが良かったのも影響したか?

もう一つ考えられるのが、米国の不動産市場の好調を受け、積極的に買われた可能性です。

サブプライムローン問題の影響で、米国の不動産市場は一時的に大きく下げました。しかし、それも大分回復してきたので、儲かるチャンスが大きいという判断になったのでしょう。

というか、銀行や証券会社の窓口で、そのようなセールストークがされたのでしょうね。新光US-REITオープン以外のアメリカのREIT に投資する投資信託も売れているようなので、その可能性はありそうですね。

大手ネット証券では扱われていないケースも

ちなみに、日本で一番売れている投資信託である新光US-REITオープンですが、大手ネット証券では扱われていないこともあるようです。

業界最大手であるSBI証券での扱いがないようですし、楽天証券やマネックス証券でも扱われていません。また、ネット証券では無いですが、大和証券でも扱いがないようですね。

この状況からも、毎月分配型を餌に、投資の初心者向けに販売しているのではないかという印象を持ちます。なんだか、ちょっと、あれですね。

  1. 余談ですが、個人的には、イマイチな愛称だと思っています。まあ、この投資信託に限らず、首をひねる相性が多いですが []

投資信託での資産運用を考えるなら、その前にiDeCoの検討を

投資信託での運用を考えているあなた。その前にiDeCo は活用していますか?

iDeCo なら、投資信託を使った資産運用ができる上に、有利な節税の仕組みもあります。条件が整えば、年間数十万円単位の節税になる人もいます。この有利な仕組みを使わない手はないでしょう。

ちなみに、手数料等を考慮すると、iDeCo の窓口金融機関にはネット証券がお勧めです。興味がある方は資料請求から。

投資信託では金融機関はどこを使う?

投資信託を使って資産運用をするならSBI証券がおすすめです。取り扱い本数が2,500本以上とかなり多く、顧客満足度も高い証券会社だからです。

投資信託の積立をして長期的な資産形成をする場合も、やっぱりSBI証券が良いでしょう。銀行や信用金庫からの自動引き落しに対応していて、とても便利です。月々100円から積立てられるのもメリットですね。

ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。

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