これを書いている時点では、「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」という投資信託が純資産総額で2番目になっています。新光US-REITオープンが最大で、その次がこれということですね。
この投資信託は、どんな方針で運用されているのでしょうか。交付目論見書を通して、チェックしてみましょう。
Contents
運用方針をチェック
さて、この投資信託は、どんな投資信託なのでしょうか。
交付目論見書にはファンドの特色として8つの特色が挙げられています。具体的にどんな特色があるのか、簡単にチェックしてみましょう。
ハイ・イールド・ボンドを中心に運用される
1 米ドル建て高利回り事業債(以下「ハイ・イールド・ボンド」といいます。)を中心に分散投資を行ない、高水準の利息等の収入を確保するとともに、値上り益の追求を目指します。
この説明にあるように、ハイ・イールド・ボンドに投資するというのが、最大の特色です。ハイ・イールド・ボンドは、一般的には、リターンが大きいと考えられています。ですから、値上がりが追求できるわけですね。
ちなみに、具体的に投資する対象が何かは、特色の2つ目に書かれています。
Ba格、BB格以下の格付けの債券に投資
2 格付けに関しては、主に、Ba格(ムーディーズ社)以下またはBB格(スタンダード&プアーズ社)以下の格付けの事業債に投資を行ない、一部、格付けを持たない債券や、米国以外の国の発行体の高利回り事業債を組入れることもあります。
ここに書いてある「Ba格(ムーディーズ社)以下またはBB格(スタンダード&プアーズ社)以下の格付け」の債券をハイ・イールド・ボンドと言います。1
Ba格以下あるいは、BB格以下というのはどういうことかというと、債券を発行している組織(発行体といいます)の信用が低いということです。ですから、償還の期日が来ても、お金が返ってこない可能性も大きいのです。それまでに倒産してしまう可能性があるわけですね。
リスクとリターンはトレードオフの関係にあるので、リスクが高い分、大きなリターンも期待できる分けです。つまり、この投資信託が投資しているのは、ハイリスク・ハイリターンの商品ということですね。
特色の2番目に書かれていることで、もうひとつ重要なことは、米国以外の国の債券なども保有する可能性があるということでしょうか。実際にどんな債券がどの程度入っているかは、ちょっとチェックしておいても良いのかもしれません。
どういうこと?
3 銘柄選択に関しては、個別企業分析により判断します。
これはどういう意味で書いているのでしょうか。バランスよく全て買うのではなく、個々に精査すると言う意味でしょうか。ちょっと分かりません。
ボトム・アップ・アプローチを採用
4 個別企業分析にあたっては、アナリストによる独自の企業調査情報を活用し、個別の企業の信用分析と現地のポートフォリオ・マネージャーによる「ボトム・アップ・アプローチ」を重視した運用を行ないます。
これは、個別企業分析の方法を書いているわけですね。ボトム・アップ・アプローチと言うのは、個々の企業を調査して、購入する債券を決めると言うようなことでしょうか。
ちなみに、ボトムアップ・アプローチの反対の概念が、トップダウン・アプローチです。個別企業から分析するのではなく、マクロ経済分析をして投資対象を決めていきます。
ハイ・イールド・ボンドは高位を維持
5 高利回り事業債の組入率は原則として高位を維持します。
基本的に積極的にハイ・イールド債を買っていくということですね。投資信託の名称通りの運用を行うということです。
為替ヘッジは無し
6 原則として外貨建資産の為替ヘッジは行ないません。
為替ヘッジと言うのは、要するに、為替変動の影響を避ける取引のことです。それをしないということですから、ドル円の相場の影響は受けるということですね。
ファミリーファンド方式を採用
7「ファミリーファンド方式」による運用を行ないます。
ファミリーファンド方式と言うのは、直接金融商品を買うのではなく、マザーファンドという投資信託を買う仕組みのことです。今回の場合だと、私たちが投資する「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」は債券を買いません。マザーファンドである「フィデリティ・USハイ・イールド・マザーファンド」を買うことになります。そして「フィデリティ・USハイ・イールド・マザーファンド」が、債券を買うことになるわけです。
形としては、ファンド・オブ・ファンズと似ていますが、ファミリーファンド方式の場合は手数料がかかりません。
ベンチマークを採用
8 ハイ・イールド・ボンドの代表的な指数であるバンクオブアメリカ・メリルリンチ・USハイ・イールド・コンストレインド・インデックス(円換算)をベンチマーク(運用目標)とし、長期的に当該インデックスを上回る運用成果をあげることを目標とします。(ベンチマークとの連動を目指すものではありません。)
● バンクオブアメリカ・メリルリンチ・USハイ・イールド・コンストレインド・インデックスとは、メリルリンチ社が算出・公表するハイ・イールド・ボンド市場の動きを示す指数です。
ベンチマークと言うのは、運用目標のことです。目標を定めて、それに上回るような運用を目指すわけですね。
「バンクオブアメリカ・メリルリンチ・USハイ・イールド・コンストレインド・インデックス(円換算)」という長い名前の指標をベンチマークにしています。
まとめ
ここまでの内容から分かる事を、簡単に整理してみましょう。
まず、この投資信託はハイ・イールド債に積極的に投資する投資信託ということです。アメリカのハイ・イールド債が中心ですが、必ずしもそれに縛られないのも特徴と言えるでしょう。
ハイ・イールド債は別名ジャンク債とも呼ばれます。大きなリスクをとって、大きなリターンを目指す投資信託です。
ちなみにこの投資信託では、ベンチマークと呼ばれる目標を設定しています。そして、積極的にそれを超えるような運用を目指します。
ということは、この投資信託の運用がうまく言っているかどうかを判断するには、ベンチマークに対してのパフォーマンスをチェックすれば良いわけです。
- これらの格付けの低い債券は、ジャンク債と呼ばれることもあります。 [↩]
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