投資をするときに気になるのが、リスクの大きさです。Aという商品とBという商品を比べたときに、どちらがリスクが大きいかというのは気になるところですよね。
ところで、質問サイトを見ていたら、リスクに関する次のような趣旨の質問がありました。「投資信託と株式では、どちらがリスクが高いですか?また、為替と投資信託ではどちらがリスクが高いですか?私は為替が一番低リスクで、次に投資信託だと思っています。」
今回はこの問いをたたき台として、リスクについて考えてみましょう。
リスクって何だ?
リスクという言葉は、実はかなり厄介な言葉です。何が厄介かと言うと、様々な定義があるのです。
ですから、同じリスクと言う単語を使って会話をしていても、話がかみ合わないことがあります。まずは、参考までに、保険におけるリスクについて見てみましょう。
保険におけるリスク
保険業界では、リスクと言うのは誰かが損害を受ける可能性のことをさします。ただ、生命保険と損害保険ではリスクの定義がちょっと違っています。
まず生命保険だと、誰かが亡くなる事や、誰かが一定の年齢まで生きることがリスクと考えられます。
定期保険のような死亡保険は、誰かが亡くなることに備える保険です。家族が亡くなると経済的に負担が増える可能性があります。これは確かにリスクですよね。それに備えるために、生命保険を利用するのです。
あるいは年金保険は、誰かが一定の年齢まで生きることがリスクであると考えて作られています。これは分かりにくいと感じる人もいらっしゃるでしょう。ちょっと補足します。
一定の年齢まで生きると、誰しも自分でお金を稼ぐことが難しくなります。それにもかかわらず、生活はしていかないといけませんから、お金は必要です。これはある意味、経済的なリスクですよね。ですから、一定の年齢まで生きるリスクに備えた個人年金保険という保険が存在するのです。
これに対して損害保険では、物が壊れたり賠償責任を負うことがリスクと考えられます。こちらの方は理解しやすいのでは無いでしょうか。大事な車に対して誰かに大きな落書きをされたとしたら、これはかなりリスクですよね。あるいは、交通事故を起こして損害賠償責任をおったら、これもリスクです。
ただ、生命保険にしろ損害保険にしろ、誰かが損害を受ける可能性に備えていると言う意味では共通しています。その意味では、筋を追って考えれば理解はしやすいはずです。
投資の世界でのリスクとは
これに対して投資の世界では、リスクと言う言葉を全く違った意味で使います。正確に言うと、保険業界の定義のように損害を受ける可能性のことをリスクと言うこともありますが、まったく違ったものもリスクと呼ぶのです。
投資の世界で具体的に何をリスクと呼ぶかと言うと、不確実性のことをリスクと呼びます。これは価格変動の大きさと言い換えても良いでしょう。そして、不確実性が大きければ大きいほどリスクが大きいことになるのです。
例えば、100万円を今から1年間運用をするとします。そして、1年後に確実に99万円になる事が分かっていたとしましょう。1万円確実に損をするわけです。この条件だと、リスクについてはどう考えれば良いのでしょうか。
ちょっと意外かもしれませんが、このケースではリスクはゼロだと言えます。なぜかと言うと、確実に1万円損するということは、不確実性が無いことになるからです。ですから、リスクも無いのです。
投資の世界の「リスク」の定義に従うと、100%の確率で損をする場合でも、リスクがゼロである可能性もあるわけですね。これは保険の世界のリスクの考え方とは全く違うものです。
もう一つ例を考えてみましょう。100万円を投資すると1年後に5割の確率で105万円になり、5割の確率で110万円になるとします。
実はこの運用は、逆にリスクがある運用ということになります。なぜかというと、将来のリターンが不確実だからです。
確実にもうかるのに、ハイリスクであると考えられてしまうのです。損をする確率がゼロでもリスクがあるなんて、変な感じがしますよね。でも、投資を考えるときには、このように考えられるのです。私たちの常識とは違いますけどね。
実はこのようなリスクの考え方は、リターンと言う考えも合わせて考えると合理的なものになります。ですから、この部分だけをとって荒唐無稽ということはできません。
株式と投資信託だと株式の方がハイリスク
さて、投資でいうリスクの定義によると、株式投資と投資信託では一般的に株式投資のほうがリスクが高いといって良いでしょう。なぜかというと、投資信託に比べると、株式の方が不確実性が大きいからです。
投資信託は一般的に、様々な金融商品を組み合わせて運用されます。例えば、日本株に投資する投資信託だと、複数の株式の組み合わせで運用されるわけです。
これは、一般的に、個別の株式よりも値動きが小さいのです。つまり不確実が小さいわけですね。ですから、リスクが小さいと言うことができるのです。
もちろん、投資信託には様々なリスクのものがあります。ですから、一概に比較は出来ません。それでも、一般論としては株式と比べると低リスクであるといって良いでしょう。
為替の場合は話はちょっと厄介です。
例えばドル円の為替の話をしているのなら、リスクはそれほど大きくないといって良いでしょう。多くの株式と比べれば、価格変動のばらつきは小さいですから。大きく動いても年数パーセント程度ということが多いです。その意味では、ドル円ということだけを取れば、株式よりもリスクが小さいといっていいかもしれません。
しかし、それ以外の通貨だと、必ずしもそんなことは言えません。かなり変動が大きい通貨も存在するからです。
また、質問した人がどういう意図で「為替」という単語を使っているかというのも気になるところです。FXのようにレバレッジをかけて投資することを想定しているようにも思えるのです。
レバレッジをかけると、当然ですがリスクは大きくなります。そうなると株式投資よりも為替の方がリスクが小さいなんて言えなくなりますよね。
投資信託の比較となると、さらに厄介です。なぜかと言うと、投資信託にも為替同様、様々な種類があるからです。全体で比較しろと言うのが無理な話です。
ですから、リスクの大きさは、個々の商品で比較をするしかありません。そのときに大事なのが、どちらがばらつきが大きいかと言う視点です。この視点さえあれば、比較検討は可能なのです。
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