Google を使って「グロソブ」と検索すると、検索結果の一番下に「グロソブに関連する検索キーワード」と言うのが出てきます。その中に、「グロソブ 危険」という項目が挙がっていました。
こんなふうに項目として挙げられているということは、こういうキーワードで検索している人がいるのでしょうね。こういうのを見てしまうと、グロソブを持っている人には、不安になるところです。
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純資産総額はかなり減ってしまった
実際、グロソブに関しては、あまり良い状況とは言えません。何より問題だと感じるのが、ここ数年は徐々に純資産総額を減らしていると言う点です。もう少し正確に書くと、一気に純資産総額を落とした後も、じりじりと下げているという感じでしょうか。運用報告書を見ると、よく分かると思います。
毎月分配型の投資信託の場合は、分配しすぎで減らしている部分もあるのでしょう。ただ、それだけでもなさそうですね。解約による純資産総額の減少も少なくないものと思われます。つまり、契約者が逃げている可能性があるわけです。
そんな投資信託を持っているのは、ちょっと怖いですよね。何かとんでもなく悪いニュースがあるのでは無いかと、疑いたくもなります。
じっさいのところ、グロソブは大丈夫なのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。
リスクの大きさは限定的
グロソブ運用方針を考えると、リスクの大きさは限定的と考えて良いでしょう。
先進国のソブリン債1 に投資するというのが、グロソブの基本的な考え方です。先進国のソブリン債ということは、現地通貨で大きく損をする可能性が大きいとは思えません。
その意味ではそもそも「危険」が大きい投資信託ではありません。この点は今後も変わらない可能性が大きいと考えて良いはずです。少なくとも、現時点で何かとんでもなくヤバい状況だとは考えにくいです。
唯一心配なのは、為替の影響でしょうか。現地の通過ベースではリスクが小さいとは言え、日本円に直すときに為替の影響を受けて損をする可能性はあります。
とは言え、為替のリスクは外国の株式や債券に投資するかぎり、付いて回る問題です。グロソブだけが危険ということは無いはずです。
運用はあまりうまく言っていないよう
もう一つ気になるのが、グロソブの運用に関してです。グロソブの運用に関しては、それほどうまく行っているという感じではありません。大きな問題があるわけでは無いのですが、ベンチマーク2 と比べると、明らかにパフォーマンスが悪いのです。
ちなみに、ベンチマークと比べる際には、分配をしなかったと仮定して計算された基準価額を使います。分配をすれば、ベンチマークに勝てないのは当然ですからね。その分は補正した上で比較するのです。
細かく計算したわけでは無いので、ベンチマークに勝てていない理由はせいかくには分かりません。一ついえるのは、グロソブの手数料(特に信託報酬)がハンディキャップになっていると言う事です。ベンチマークに勝てない一因は、他の投資信託同様で手数料にあるはずです。
ただ、それだけでなく、ファンドマネージャーの腕が悪い可能性もあります。何が一番大きな原因なのかは、なかなか断定できません。
ただ、何にしても、ベンチマークとかなり差をつけられているのは確かです。これは月次の報告書を読めばグラフが載っていますから、簡単にチェックできるはずです。
ある程度の規模は維持している
グロソブの純資産総額が減っているのは上に指摘したとおりです。しかし、規模が小さくなっているとは言え、日本の投資信託の中ではまだまだかなり大きい投資信託であることに変わりはありません。
具体的に書くと、純資産総額で1兆円の規模は維持しています。これは、ETF やMMF を除いた場合に、ベスト5に入る程度の大きな投資信託であるということを意味します。
規模が小さくなることに目を奪われて、とんでもなく小さくなってしまったような印象を持つかもしれません。しかし、まだそれほどの事も無いということは知っておいたほうが良いでしょう。
結論
以上のような状況を総合的に考えると、グロソブに何か大きな問題があるということもなさそうです。
多少小さくなったとは言え、繰上償還3 が心配されるような状況ではありません。むしろ現在でも、巨大な資信託の一つのままです。
運用の面では心配が無いわけではありません。ベンチマークに差を広げられているのは、投資信託としては問題でしょう。しかし、びっくりするほど酷い状況ということでもありません。
そして、そもそも比較的安全な金融商品に投資する投資信託です。ですから、安全性という意味でもそれほど気にすることはなさそうです。本来あるようなリスクが存在すると言う感じです。
こうやって考えると、グロソブへの投資は危険と言うのとはほど遠い状況と言えそうです。もちろん、これは、グロソブを買っても損をしないと言う意味ではありません。為替の影響やその他の経済状況もありますから、損をする可能性は常になくなりません。投資信託ですから、当然です。
まあ、運用があまりうまく行っていない現状もありますから、別の投資信託に乗り換えるという選択もあっても良いかもしれませんね。格別に危険ではありませんが、うまく行っていないからと言う理由での乗り換えはあっても良い気がします。
2018年7月追記:かなり純資産総額も減らしているようです
その後のグロソブですが、かなり純資産総額を減らしてるようです。具体的な金額を書くと、4,898億円4 まで純資産総額が減りました。
ピーク時には1兆円を軽く超えていましたから、そのころの半分以下には落ち込んでいるわけですね。(訂正:最盛期には5兆7000億円を超えていたそうです。2018年7月時点では、一割以下ですね。)
投資信託の純資産総額の大きさでは、上から30番くらいまで落ちてしまいました。ちなみに、ETF やMRF を含んだ順位です。これらが無ければ、もうちょっと順位は高いようです。
そもそも売れていた理由が不思議な投資信託
そもそも、どうしてこの投資信託が売れているのか、全く意味が分かりませんでした。
毎月分配型が一つの売りなのかもしれませんが、はっきり言って毎月分配型には何のメリットもありません。というか、最近は、毎月分配型は金融庁から名指しで非難されています。
もっとも以前は、投資信託の分配金を預金金利と同じようなものだと説明していたところもあるようです。はっきり言って、かなり阿漕な営業トークです。それで売れたのかなあ。
そのくせ、金融機関が積極的に売りたいほど、手数料が高いわけでもないのです。パフォーマンスも際立って良いわけではありませんし。
ですから、やっとまともな姿になってきたというところなのかもしれません。少なくとも、個人的には、そのように認識しています。
AERA の説明は嘘くさいなあ
ちなみに、AERA という雑誌では、グロソブが売られた理由を次のように説明しています。
そんなグロソブが解約ラッシュに見舞われた一因は、7月の退任が報じられている金融庁の森信親長官による「顧客本位宣言」である。森長官は前職の監督局長時代から顧客本位を唱え、「回転売買」と呼ばれる投信の頻繁な乗り換え推奨や、銀行による高コストな変額保険販売を批判してきた。名指しこそしなかったが、グロソブも「収益分配頻度の高い」商品設計が「顧客の利益になっていない」とやり玉に挙げられた。
このため、多くの証券会社や銀行は、グロソブなど毎月分配型ファンドの残高積み増しから一転し、削減へとかじを切った。先の元支店長Aさんは「金融庁ににらまれる事態を回避するために、グロソブを含む毎月分配型ファンドの残高を極力落とすよう、一昨年に本店から指令があった。顧客には他のファンドや株式を薦めました」。前回と意味は違うが、これが2度目の「グロソブを売れ」である。5
でも、この説明が、はっきり言って嘘に近いんですよね。というのも、グロソブの解約が始まったのは、2008年の終わりころからなのです。この記事が言う一昨年の話ではありません。
何でこんな、適当な事を書くのでしょうか。ここ10年にわたって、グロソブは低調なのです。このページだって、最初に書いたのは2014年ですからね。そのころには、とっくに、グロソブは売られていました。
一応、証拠として、グロソブのマンスリーレポートのチャートを載せておきます。
青く塗られた部分が、純資産総額ですね。これを見て、一昨年から売られたと思う人はいないでしょう。
確かに、金融庁がグロソブを含めた毎月決算型の投信に厳しくなったのは事実です。でも、実は、その前からグロソブは解約されているのです。
まったく、いい加減な事を書かないでほしいものです。
- 政府又は政府関係機関が発行したり保証たりしている債券のことをソブリン債と言います。国債などを思い浮かべると分かりやすいでしょう。 [↩]
- 投資信託で運用の目標にする指標をベンチマークと言います。その指標に対するパフォーマンスの良し悪しが、運用の成功と失敗を判断する基準のひとつになります。 [↩]
- 投資信託は純資産総額が小さくなると、予定より早く償還されることがあります。要するに、お取り潰しになるわけです。これを繰上償還といいます。 [↩]
- 投資信託協会のサイトより。2018年7月11日時点で確認。 [↩]
- 投資信託「グロソブ」が最盛期の10分の1に 解約ラッシュの背景〈AERA〉
AERA 2018年7月9日号より [↩]
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投資信託では金融機関はどこを使う?
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投資信託の積立をして長期的な資産形成をする場合も、やっぱりSBI証券が良いでしょう。銀行や信用金庫からの自動引き落しに対応していて、とても便利です。月々100円から積立てられるのもメリットですね。
ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。
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