質問サイトを見ていたら、投資信託に関しての次のような趣旨の質問を見つけました。どうやら質問者は、投資信託を夢のような商品だと思っているようです。
現在1,000万円を、ある投資信託で運用しています。その投資信託では、ブラジルレアルコースというのを選択しています。その投資信託は毎月分配型なので、月々16万円の分配金を受け取っています。
この投資信託について質問なのですが、この分配金は永遠に受け取れるようなものなのでしょうか。例えば、ブラジルの経済に問題があったら、分配金がなくなるようなことはあるのでしょうか。
どうやらこの質問者は、大きな問題がなければ分配金を受け取り続けられると思っているようです。率直に言って、かなり誤った認識を持っていると言う感じがします。はっきり言って、ちょっと怖いです。
このページでは、何がどう問題なのか、一緒に考えてみましょう。
Contents
分配が続けば夢のような金融商品です
この質問者が受け取っているのは、1,000万円の投資に対して毎月16万円ということです。ということは、年間で192万円の分配金を受け取れることになります。
これは、年率に直すと、19.2%ということです。つまり、税金を無視すれば、5年もあれば分配金だけで元本を回収できてしまうことになるわけです。その後は毎月分配金が振り込まれてくる、夢のようなシステムです。
さすがにこんなすごい商品は、どこを探しても存在しないはずです。なぜなら、今は10年物国債の表面利率が1%を切るようなご時勢だからです。国内でかなりのインフレが続いているならともかく、現在のような状況で年20%のリターンと言うのは、ちょっとありえません。
本当に年20%の分配が続くような商品があるのなら、誰も国債なんて買わないですよね。馬鹿馬鹿しいですから。
ということで、多少でも金融の知識がある人なら、何か裏があると疑うような商品です。この質問者は、そういった部分では疑っている様子がありませんから、20%の分配金が今後も続くと、純粋に信じてしまったのでしょうね。銀行か証券会社ですすめられたのかなあ。
元本を削って分配金に充てているだけ
それでは、この投資信託は、どのようにして20%近い分配を可能にしているのでしょうか。一応可能性として考えられるのが、たまたまここ数ヶ月は運用成績がよく、利益から分配が出来ていると言う可能性です。こういう可能性も無いわけではありません。
しかしおそらく、現実はそうでは無いでしょう。なぜなら、このように分配金の大盤振る舞いをしているのは、この投資信託に限らないからです。そして、それらの投資信託のほとんどは、大した利益が出ていなくても大きな分配をしています。この投資信託も、そういたったタイプの投資信託の一つだと考える方が自然でしょう。
それでは、分配をたくさん出している投資信託は、どうやって分配金を捻出しているのでしょうか。実は答えはとても簡単です。運用資金を削って分配金にまわしているのです。つまり、投資家から運用資金として扱ったお金を、分配金と称して投資家に返しているに過ぎないのです。
運用資金を投資家に返しているだけということは、いつかは分配資金が枯渇するということですよね。ということで、この質問者の質問に対する答えは、「ブラジルの景気にかかわらず、いずれ分配は無理になる」ということになるでしょうか。
元本を削って分配金にまわすなんてこっけい話だと思うかも知れませんが、実際にかなり多くの投資信託で行われています。特に、毎月分配をうたっている投資信託では、常態化しているといってもいいでしょう。
分配金が利益の分配だと思っていたら、投資家は不幸になる
質問を読む限り、今回の質問者は、分配金が利益から支払われていると思っているふしがあります。今後も分配が続くと素直に信じているということは、そう考えていないと辻褄があいません。ということは、毎月支払われる十数万円が利益だと思っているということですよね。
利益だと思っているのなら、この十数万円は、全部使ってしまうかもしれません。全部使ってしまっても元本が残っているのなら、全く問題ないと思っている可能性もあるわけです。
こうなると、ちょっと悲惨ですよね。元本が残っていると思っているのに、実は元本の部分を使い込んでしまうことになるのですから。
将来的に、金融機関との間に、何かトラブルが起こってもおかしくないでしょう。この質問者の理解度を見る限り、金融機関が説明不足だったといわれても仕方がない部分があります。
元本を削って分配していることを見抜くことは出来ないのか
元本の部分を削って分配に回す投資信託があるとなると、私たち投資家としては、分配の原資がどこから来ているのかを見抜かないといけません。そうしないと、分配金が利益の分配だと思っていたのに実際には元本を削っていただけだった、と言うようなことにもなりかねないのです。
でも実は、分配の原資を見抜くこと自体は難しいことではありません。月次報告書で基準価額をチェックすればいいのです。
元本を削って分配にまわしている場合、基準価額が減っているはずです。ですから、基準価額の動きを見るだけで、分配金の出所がチェックできるわけです。
運用資金を削って分配にまわしているところは、基準価額がかなり落ち込んでいます。そういうところは、この手の分配をしていると思って良いわけです。さもなくば、運用が下手糞かです。
これだけの知識を持っているだけで、無用なトラブルを回避できます。まあ、そもそも、毎月分配の投資信託なんて、買わないほうが良いんですけどね。
投資信託での資産運用を考えるなら、その前にiDeCoの検討を
投資信託での運用を考えているあなた。その前にiDeCo は活用していますか?
iDeCo なら、投資信託を使った資産運用ができる上に、有利な節税の仕組みもあります。条件が整えば、年間数十万円単位の節税になる人もいます。この有利な仕組みを使わない手はないでしょう。
ちなみに、手数料等を考慮すると、iDeCo の窓口金融機関にはネット証券がお勧めです。興味がある方は資料請求から。

投資信託では金融機関はどこを使う?
投資信託を使って資産運用をするならSBI証券がおすすめです。取り扱い本数が2,500本以上とかなり多く、顧客満足度も高い証券会社だからです。
投資信託の積立をして長期的な資産形成をする場合も、やっぱりSBI証券が良いでしょう。銀行や信用金庫からの自動引き落しに対応していて、とても便利です。月々100円から積立てられるのもメリットですね。
ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。
スポンサードリンク
スポンサードリンク
関連した記事を読む
- 投資信託の特別分配金って何?毎月分配型の投資信託とどう関係するの?
- 「ETF は分配金が少なくて損?」その考え方は正しいのか?
- 分配金狙いや短期売買と分散投資は両立するか?
- 分配金が大きいETF を売りたいんだね| でも、分配金が大きければ有利というわけでは無い
- 分配金を出さない投資信託が有利な理由?