これを書いている時点で、日本で一番規模が大きい日本株の投資信託は、フィデリティ・日本成長株・ファンドです。1 この投資信託には、「日本成長株」という名前が付いています。ということは、名前から判断するに、成長株に投資する投資信託ということですよね。
実際、交付目論見書にも次のような文言があります。
ファンドのポイント:
高い成長が期待できる日本企業を発掘し投資するファンドです。
ということは、この投資信託が保有している株式は、成長株だということですよね。それでは、この投資信託では、どういう株式が成長株とみなされているのでしょうか。
ちょっと調べてみましょう。
時価総額ベースでの保有銘柄上位20
2013年の運用報告書によると、2013年の決算時点でこの投資信託が保有している銘柄は172もあります。かなり分散されていることが分かります。
時価評価で上位の20銘柄は、具体的には次のような感じでした。
- ミスミグループ本社
- 三井住友フィナンシャルグループ
- オリックス
- トヨタ自動車
- 本田技研工業
- 三菱電機
- 日立製作所
- 日本電産
- 横河電機
- マキタ
- 楽天
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ
- 大和工業
- グループホールディングス
- シマノ
- 東レ
- 東京建物
- 三菱重工業
- 島津製作所
- 野村不動産ホールディングス
本当に成長株なのか?
この結果を見て、あなたはどのようにお感じだったでしょうか。もしかしたら、意外な印象をもたれたかもしれません。
何が意外かと言うと、成長株といっている割には、古くからある企業がかなり多いからです。トヨタ自動車とか三菱UFJファイナンシャル・グループが成長株といわれても、全くピンと来ませんよね。
成長株というのは将来にわたって増収増益を繰り返す企業というイメージです。でも、この上位20社のうちの何社が過去数年で増収増益を記録していたのでしょうか。
もちろん、一般的に成長株として位置づけられる企業も含まれるのだとはとは思いますけどね。でも、ちょっと首を傾げたくなるリストであるのは事実です。「成長株というのは名前だけなの?」なんて疑いたくなります。
投資信託の規模が大きすぎることの悪影響か?
成長株の投資信託だと位置づけているのに、疑問が付くような企業が保有比率の上位に入っているのは何故なのでしょうか。もしかしたら、投資信託の規模が影響しているのかもしれません。
規模が大きい投資信託だと、中型株や小型株に集中的に投資することは難しくなります。例えば、この投資信託の純資産総額は約3,500億円です。ということは、一つの銘柄を3%分買うだけでも100億円を超えてしまいます。
一つの企業に対して100億円分の株式を買うというのは、実はかなり大変なことです。これだけ大きい額だと、買い付けたときに自ら価格を吊り上げてしまうリスクがあります。さらに、株主総会の議決権争いに影響するほどの株式を保有する可能性も出てくるのです。
100億円分の株式を保有するのがどの程度大変なことなのでしょうか。平成26年10月末現在の時価総額のデータを参考に、いくつかの例を見てみましょう。
平成26年10月末時点のマザーズの時価総額25位の企業はUBICという会社なのだそうです。そして、その時価総額は277億円ということです。
ということは、フィデリティ・日本成長株・ファンドが純資産総額の3%分を買ってしまうと、UBICという会社の全体の3分の1以上の株式を保有することになるのです。
あるいは、市場第二部の時価総額25位の企業は、マックスバリュ西日本という企業です。そしてこの企業の時価総額が378億円です。
ということは、同様に投資信託の純資産総額の3%分の株式を買うとすると、企業全体の4分の1以上の株式を保有することになります。
さすがにこんな事は、現実的ではありませんよね。これだけの株式を買おうと思うと、自分で株価を引き上げてしまうことになるでしょう。
そしてそれ以前に、市場に出回っている株式がそんなに存在しないはずなのです。企業間の持ち合いなどがあるので、そこまでの株数は買おうにも買えないと考えるべきです。
ということは、このくらいの規模の投資信託になると、ある程度の規模の企業の株で運用しないと意味が無いわけです。それが、有名企業ばかりが上位に並んでいる理由なのでしょうね。
ということは、あまりに規模が大きすぎる投資信託は、自らの手足を縛っている可能性があるということです。この点は注意しておいたほうがいいかもしれません。
- ETF は除きます。 [↩]
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