純資産総額が大きい投資信託を選ぶのは大事だが、国内株式など投資する資産によってはあてはまらない場合も

投資信託を選ぶときのアドバイスとしてよく挙げられるのが、「純資産総額が小さすぎる投資信託は選ばない方が良い」というものです。純資産総額が小さいというのは、簡単に言うと、運用資産が小さいということですね。投資信託の規模が小さいといっても良いでしょう。

なぜ純資産総額にこだわらないといけないかというと、純資産総額が小さすぎる投資信託だと、繰上償還される可能性があるからです。繰上償還というのは、要するに、投資信託の運用を途中で終了して投資家に運用しているお金を返すことです。

つまり、純資産総額が小さ過ぎると、投資信託自体が無くなってしまう可能性があるのです。

なぜ純資産総額が小さいと繰上償還されるのか

それでは、なぜ純資産総額が小さいと、繰上償還されてしまうのでしょうか。何となくは分かると思いますが、一応確認してみましょう。

毎日運用資産から信託報酬が少しずつ抜かれている

投資信託を運用している投資信託会社の主な収入は、信託報酬と呼ばれる投資信託の手数料です。この信託報酬というのは、投資信託の運用資産から日々少しずつ抜かれています。

投資信託会社は、信託報酬を全て自分のものに出来るわけではありません。実際には、関係する他の金融機関と分け合うのです。他の金融機関というのは、具体的には、投資信託を販売した銀行や証券会社、あるいは資金管理をしている信託銀行なのです。

信託報酬は純資産総額が大きいほうが大きくなる

信託財産から抜かれる信託報酬が具体的にいくらになるかは、純資産総額に一定の率を掛けて決められます。と言うことは、信託報酬は純資産総額に比例して決まるわけです。ですから、運用資産である純資産総額が小さすぎると、信託報酬も小さくなってしまうのです。

規模が小さ過ぎると、投資信託会社にとっては赤字の垂れ流しに

つまり、純資産総額が小さい投資信託は、投資信託会社にとってたいした売り上げにならないのです。ファンドマネージャーの人件費などを考えると、赤字である可能性も大きいでしょう。

当然ですが、儲からない投資信託は早めに撤退したいと考えますよね。そこで、最初に決めた繰上償還の条件を満たしていれば、繰上償還をしようと考えるわけです。

繰上償還されない投資信託を選ぶのが大事

繰上償還をされてしまうと、また別の金融商品を探す必要が出てきます。ですから、極力、繰上償還される可能性が大きい投資信託は避けたいですよね。

ということで、純資産総額をチェックするというのは、投資信託を選ぶ際に重要なポイントになるのです。

日本株の投資信託の場合は状況がちょっと違う

上記のような理由で、基本的には、投資信託の純資産総額というのは大きい方が望ましいと考えられます。しかし、大きすぎるのが問題になるケースもあります。

例えば、日本株に投資する投資信託の場合は、規模が大きすぎると運用の足かせになる可能性が大きいです。どのように問題になるのか、例を挙げて説明しましょう。

中小型株に投資する投資信託の純資産総額が5,000億円だったら

中小型の日本株に投資する投資信託を考えてみましょう。この投資信託の純資産総額が5,000億円だったとします。5,000億円という額は、投資信託の純資産総額としては、かなり大きな部類に入ると思っていいでしょう。

さて、この投資信託の純資産総額の2%で、Aという企業の株式を買おうと思ったとしましょう。そうすると、5,000億円の2%ですから、100億円投資することになります。

でも、一つの企業に100億円も投資するとなると、その企業の株価を大きく動かしてしまう可能性もあります。さらに言うと、株主総会の議決権に大きな影響を与えるような株数を保有する可能性すらあるのです。

はっきり言って、色々とデメリットが大きいのです。ですから、A社への投資は止めるか、投資額を小さくしないといけないということになります。

このように、規模が大きすぎると、必然的に一社あたりの投資額が大きくなってしまいます。そうなると、ある程度大きい企業意外は投資しにくくなり、投資できる企業が少なくなってしまう事が考えられます。

1社に100億円投資するって結構大変

ちなみに、1社に対して100億円投資するのがどの程度大変なのか、具体例を挙げてみましょう。

例えば、2014年11月18日10時10分現在、マザーズの時価総額10位は(株)アスカネットという会社なのだそうです。そして、その時価総額は約510億円です。

510億円の時価総額しかない企業で、100億円も投資するなんて現実的では無いですよね。ということは、仮にこの企業の株を買うとしても、実際にはたいした額は投資できないわけです。

投資信託の純資産総額の大きさが、運用の足かせになるわけです。

でも、中小型株の投資信託なら、大企業の株を買うわけにはいきません。そうなると、かなりたくさんの株を買う必要が出てきます。

そうすると、結局、インデックス運用的なパフォーマンスしか期待できないことになるのです。

投資対象が限定されるものは足かせになりやすい

運用の対象が限定されれば限定されるほど、純資産総額の大きさは足かせになりやすいと考えられます。

例えば、日本株全体を投資対象としている投資信託よりも、中小型株限定の投資信託の方が影響は大きいはずですよね。上に書いたように、中小型株の場合は、一つの企業に集中して投資するのが難しくなりますから。

あるいは、国内REIT みたいに投資対象の数が少ないと、インデックス的な運用しか出来なくなります。だったら、最初からインデックス運用をする投資信託を選んだほうが良いでしょう。

このように、投資する対象によっては、純資産総額が大きいことが足かせになるのです。ですから、投資信託の中には、純資産総額が大きくなりすぎたら募集を中止するというルールがあるものすらあります。

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