欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)が1位| 三井住友銀行の投資信託ランキングには違和感しか感じない

三井住友銀行では投資信託に関するランキングを発表しています。そのランキングによると、2014年10月の販売額の1位は「欧州ハイ・イールド・ボンド・ファンド(豪ドルコース)」という投資信託でした。

ちなみにこの投資信託は、過去3か月で見ても過去6ヶ月で見ても1位でした。ということは、ここしばらくはずっと販売額のトップを維持しているのでしょうね。少なくとも、それに近い成績を上げていたはずです。

ただ率直に言って、この結果に違和感しか感じません。投資経験が少ない人には分からないかもしれませんが、長期で首位を取るような投資信託だと思えないのです。

その理由を説明していきましょう。

この投資信託が人気なのは何故?

投資信託を使ってどうやって運用するかは、人によってそれぞれでしょう。しかし一般的に言われている使い方は、長期投資のために使うものだとされています。

長期投資で使うのなら、分散投資をして放置をするのが基本です。国内外の株式、国内外の債券を買って、放置するわけです。

でもこの投資信託は、分散投資で利用する商品としては、程遠いのです。

そもそも、欧州の債券に投資するというだけでも、かなり限定的な投資先と言えます。分散投資の基本は幅広い地域に投資することなので、欧州に限った時点でおかしいのです。

その上、ハイ・イールド・ボンドにだけ投資するとなると、本当に限定的な投資信託です。ハイ・イールド・ボンドは別名ジャンク債とも呼ばれる、ハイリスク・ハイリターンの商品だからです。

勘違いしていただきたくないのですが、別に、この投資信託を買う人がいてもいいとは思うのです。でも、三井住友銀行という大手の金融機関でトップの販売額を保っているのが異常だと思っているわけです。

かなり特殊な投資信託です。

銀行が積極的にすすめているとしか思えない

この投資信託が上位の理由は何なのでしょうか。少なくとも、銀行で投資信託を買う投資家が、自発的にこの投資信託を選んでいるとは思えないですよね。

銀行で投資信託を買う人の多くは、投資経験が浅い人のはずです。そんな人が、ハイ・イールド・ボンドを積極的に買うはずが無いですから。

投資経験が浅い人なら、ハイ・イールド・ボンドなんてそもそも知らないでしょう。となると、銀行が積極的にすすめているとしか思えないわけです。

手数料が高い投資信託を積極的に売っている可能性が高い

銀行がこの投資信託を積極的にすすめている理由は何なのでしょうか。直感的に分かりやすいのは、手数料が高いからなのでしょうね。

投資信託には主に2つの手数料があります。一つは販売手数料で、もう一つは信託報酬です。

まず販売手数料を見ていると、税込みで3.78%も手数料を取られます。100万円投資すると、4万円弱の手数料がかかるわけです。これは、販売手数料としては、かなり高い方だと言って間違いないでしょう。

その上、信託報酬も税込みで年1.728%もかかります。信託報酬は、日々の運用に対する対価として取られる手数料です。目論見書などには、1年あたりの数字が示されています。

ということは、100万円投資すると年間で1万7000円程度の手数料がかかるわけですね。基準価額の変動によって、具体的な額は変わりますけど。

つまり、両方の手数料を合わせると、1年で5万5000円程度は手数料を取れることになります。これだけ手数料が高いので、この投資信託を積極的に売りつけている可能性は高いです。

豪ドルコースが人気なのも意味不明

欧州のハイ・イールド債の投資信託が人気な時点でもう滅茶苦茶なのですが、この投資信託にはさらに酷いと思われる条件も付いています。名称の後に括弧書きで「豪ドルコース」とあることから分かるように、豪ドルへの投資も行っているのです。

具体的に豪ドルコースがどんなものでしょうか。目論見書に次のような説明があります。

組入資産について、原則として、実質的に当該組入資産にかかる通貨を売り、豪ドルを買う為替取引を行ないます。

欧州のハイ・イールド債ですから、おそらく、ユーロ売り豪ドル買いの為替取引をしているわけです。為替の面でも積極的に利益を追求しようということのようです。逆に言うと、為替面でのリスクも負うということです。

でも、豪ドルに投資する理由があるとは、全く思えません。

為替の取引はリスクに見合う期待リターンは無い

ちなみに為替の取引というのは、理論的に言うと、ハイリスクでゼロリターンの商品です。

リスクに関しては、価格変動のリスクを思い浮かべると分かりやすいですよね。通貨によってはかなりのハイリスクになります。

また、為替取引はゼロサムゲームなので、基本的に期待リターンはゼロなのです。手数料が多少かかる分、マイナスという言い方のほうがいいかもしれません。

ゼロリターンと言うことは、この投資信託は、どちらかというと不利な商品なのです。素人が手を出すものではなく、相場観がある人達が勝負する場所なわけです。

ランキング1位であるのは違和感

繰り返しますが、こんな投資信託が存在しても否定はしません。存在は否定しませんが、ランキング1位になるのは違和感しか感じません。しかも、かなりの長期間にわたって1位を維持しているんですよね。

自発的に投資家が選択した場合、この投資信託が上位になるとは思えません。やっぱり、販売する銀行側の意思が働いているのでしょうね。

そうでないと辻褄があいません。こういう姿勢を見ていると、誰を見て経営しているのか、経営者に聞いてみたくなりますね。

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