一つ前のページでも書きましたが、2015年5月末の段階で投資信託の残高が100兆円を突破したのだそうです。1 正確に書くと102兆4574億円という事ですね。2
記事によると、第2次安倍内閣の時期に一気に増えたようです。2年半の間に40兆円以上も増えたみたいですね。すごいペースです。
日本のGDPと比べてみよう
さて、100兆円というのは、かなりの額だというのは分かります。でも、額が大きすぎて、いまひとつピンときませんよね。そこで、この額がどの程度のものなのか、ちょっと考えてみることにしましょう。
まず、比較しやすいのが日本のGDP との比較です。日本の名目GDP は、大雑把に言うと、大体500兆円です。という事は、GDP の5分の1程度の額の投資信託があるということになります。
GDP というのは、すごく簡単に言うと、日本全体で1年で生み出される付加価値の総額ことです。その1年分の付加価値の2割にあたる額が、投資信託になっているということですね。
まあ、ストックとフローを比較することに、それほど意味があるとは思いませんけどね。数字のイメージとしては、多少しやすくなるでしょう。
一人当たりで考えてみると
ただ、GDP の2割程度といわれても、まだ分かりにくいですよね。そこで、今度は、一人当たりがどの程度の投資信託を持っているかを考えてみましょう。
とりあえず概算がしたいので、日本の人口を1億人として計算します。100兆円を1億で割ると、日本人1人当たり100万円分の投資信託を持っていることになります。
これで大分イメージがしやすくなったのでは無いでしょうか。意外と高額だと感じた人が多いのでは無いでしょうか。
ちなみに、日本の1世帯あたりの人数は2人から3人の間くらいです。ということは、1世帯あたり200万円から300万円程度の投資信託を持っている計算になります。
個人記入資産と比較してみよう
さて、最後にもう一つ比較をしてみましょう。比べる相手は、日本の個人金融資産です。個人金融資産というのは、個人が所有する預貯金や株式、債券などの事を言います。個人が所有する投資信託も含まれます。
ちょっと古いデータですが、2013年末の段階で、日本の個人金融資産は1,645兆円だったそうです。ということは、個人金融資産全体と比べると、投資信託というのは、16分の1程度に過ぎません。
これはつまり、金融資産を投資信託以外で持っている人が多いということです。多くの場合は、現金や預金の形で持っているのでしょうね。
ということで、投資信託の残高は大きく増えましたが、全体から見るとたいした額では無いことがわかります。
一応3つ例を挙げてみました。これで大分イメージがしやすくなったのでは無いでしょうか。大雑把に言って、一世帯あたり200万円から300万円程度ですが、預貯金に比べればまだまだ小さいというのが、大雑把なイメージです。
自分が貧しいと嘆いてはいけません
1世帯あたりの投資信託が200万円から300万円程度であるという事実は、多くの人を失望させるかもしれません。うちはそんなに投資信託を持っていないと思う人が多いでしょうから。
しかも、金融資産で見るとその10倍以上であるというのは、もっと失望させるかもしれませんね。1世帯あたり何千万円もの金融資産があるのが平均的な姿だと思ってしまうと、自分の家の現状を嘆きたくなる人が多いはずです。
でも実は、この数字に踊らされる必要はありません。というのも、ここで出した数字はあくまで平均でだからです。
平均というと、一般的な日本の家庭の様子を表すものだと感じる人もおおいかもしれません。でも、実は、全然違います。平均は一部の金持ちによって大きく引き上げられていると考えられるからです。
つまり、平均レベルの資産を持っている人は、どちらかというと豊かなそうなのです。平均に届かなくて当たり前と思っておいた方が健全です。
一部の金持ちに平均が引き上げられるってこういう事
一部の金持ちが、平均を引き上げるというのはどういう事でしょうか。具体的に例を挙げて考えてみましょう。
ちょっと考えやすくするために、日本が10人の国だったとしましょう。そして、この10人のうち9人は庶民で、1人はお金持ちだったとしましょう。
具体的には、9人が20万円ずつ投資信託を持っていたとします。さらに残りの1人は金持ちは、820万円分の投資信託を持っていたとします。
この10人の持つ投資信託の合計は、1,000万円です。ということは、一人当たりの平均は100万円になります。
でも、この国の人にとっては、一人当たり20万円の投資信託を持っているのが普通ですよね。なにせ10人のうちの9人が20万円の投資信託を持っているからです。でも、最後の一人が平均を大きく引き上げてしまうことで、平均はかなり高額になってしまうのです。平均と比べると、ほとんどが貧乏人になってしまうわけですね。
現実の世界でも状況は大体同じです。一部の金持ちが平均を引き上げていると考えられます。ですから、仮に平均よりも自分の資産が小さかったとしても、それほど気に病む必要は無いのです。
もちろん、あまりに資産が小さすぎるのは問題ですけどね。
- ちなみに、このページでは、引用するニュースにあわせて「残高」という語を使っていますが、前のページでは「資産残高」という語を使っています。でも、どちらも正確な用語ではなく、正しくは「純資産総額」と言います。おそらく、純資産総額という語になじみが無い人が多いので、イメージしやすい「残高」や「資産残高」という語に置き換えているのでしょう。 [↩]
- 投信残高、初の100兆円超=5月、株高で運用益期待―第2次安倍政権下で7割増
時事通信 2015年6月11日 [↩]
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