みずほ投信投資顧問の「米国小型バリュー株ファンド1 」のパンフレットを見ていたら、ちょっと引っかかる表現がありました。「米国株の魅力」というページなのですが、「世界経済を牽引する米国」とか「増益基調に有る米国企業」などといった小見出しがついているのです。
でも、「これって、米国株の魅力なのか?」と疑問に感じてしまったわけです。
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米国経済の魅力であることは間違いない
「世界経済を牽引する米国」や「増益基調に有る米国企業」といった表現は、米国経済の好調さを示す表現ではあるでしょう。これはほとんどの人が否定できないはずです。実際、米国経済は好調です。
その証拠に、米連銀は金利の引き上げを考えているようです。FOMC で利上げ決定か、と言うような記事は、既に何度も見かけています。
一般的に利上げをするのは、景気が過熱している時です。つまり米連銀はアメリカの景気は良すぎると判断し、引き締めたいと思っているわけです。
そしてそのタイミングを探っているのは、経済ニュースに興味を持つ人なら誰もが知っていることなのです。
繰り返しますが、金利を引き上げる理由は、経済が好調すぎるから少しブレーキをかけるということですよね。つまり、ブレーキをかけないといけないくらい、アメリカ経済は好調なのです。
経済が好調だからと言って株式を買う良いタイミングとはいえない
でも、米国経済が好調だというのは、必ずしも株式の良いタイミングであることを意味しません。ですから、「米国株の魅力」と書かれていたことに違和感を感じたわけです。
アメリカが世界経済を牽引していることも、アメリカの企業が増益基調にあることも、投資に興味がある人ならみんな知っていることです。既にみんなが知っていることは、株価の上昇要因とはなりません。なぜなら、とっくに株価に情報は織り込まれているはずだからです。
ということで、「世界経済を牽引する米国」や「増益基調に有る米国企業」という文言をパンフレットに載せて投資家を煽るのは、ちょっとスジが悪いと思ったわけです。いかにも、投資経験の浅い素人にアピールすることを考えて作られた感じがします。
この手のセールスはよくある手法
株式投資に対してあまり知識が無い人なら、「アメリカ経済の好調=株価の上昇」という図式は成り立つと考えるでしょう。しかし株価は景気の先行指標なので、アメリカ経済の成長にブレーキがかかったら、その瞬間に大きく下げる可能性だって小さくは無いのです。
もっと具体的に書くと、米連銀が利上げを決めた瞬間に、アメリカの株価が下がり始める可能性は大きいと考えられます。つまり、アメリカ株を買うタイミングとしては、米連銀の利上げ前というのはむしろ悪いタイミングだと考える方が自然なのです。
もちろん、アメリカ株が今後も好調であるというシナリオが、全くありえないと言う気はありません。そういう可能性だって、当然存在します。
でも、今回紹介したパンフレットの書き方は、ちょっと浅はか過ぎるということです。そんなにシンプルなものではありません。
まあ、投資の初心者を釣るだけなら、この程度の売り方で十分だと言う判断をしているのでしょうね。確かに、知識が無ければ簡単に説得できそうなコピーではあります。
補足:アメリカの中小型株は既に下がり始めている
ちなみに、これを書いている時点(2015年10月下旬)のラッセル2000という指数をチェックすると、アメリカの中小型株は、既に値下げ傾向にあるようです。ラッセル2000というのは、アメリカを代表する中小型株の指数として知られている指数です。
米連銀による利下げが発表される前から、株価が下がり始めているわけです。投資信託のパンフレットに書かれたことが、いかにいい加減か良く分かりますよね。本当に利下げがあったら、どうなってしまうのでしょうか。
- ちなみにこの投信には、「アメリカンエンジェル」というちょっとダサい愛称がついています [↩]
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