ETF は信託報酬と呼ばれる手数料が安いことが知られています。信託報酬というのは、日々の運用に対する手数料だと理解すると分かり易いでしょう。年○%という形で設定されていますが、日割りにして毎日信託財産から抜かれています。
ETF の信託報酬を普通の投資信託と比べると、桁が違うレベルで安いです。そして、投資信託の中では手数料が安いといわれるインデックス・ファンドと比べてもかなり安いです。
でも、ETF はなぜこんなに手数料を安くすることが出来るのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。
販売会社に支払う手数料がゼロ
ETF の信託報酬が安い大きな理由の一つが、販売会社の取り分がゼロだからです。
実際どのていど違うのか、具体的な投資信託を出して比較してみましょう。まずは、普通の投資信託から。
これを書いている時点では、普通の投資信託でもっとも純資産総額が大きいのが、新光投信株の「新光US-REITオープン(愛称:ゼウス)です。投資信託協会のサイトをチェックしてみると、この投資信託の信託報酬は次ようになっているそうです。
- 信託報酬(税抜):1.53000%
- 委託会社:0.85000%
- 販売会社:0.60000%
- 受託会社:0.08000%
委託会社というのが、新光投資顧問のことです。販売会社はゼウスを販売した銀行や証券会社のことですね。受託会社というのは、実際にお金を管理している信託銀行のことです。
これを見るとわかるように、信託報酬1.53%のうち0.6ポイントは、投資信託の販売会社、すなわち実際に売った銀行や証券会社の取り分なのです。要するに、入ってくる信託報酬の3分の1以上は販売会社がとっているわけですね。
実はこれでもまだ良心的な方で、販売会社の取り分の方が委託会社の取り分よりも多いような場合すらあります。
それでは次に、日本で一番純資産総額が大きいETF である野村アセットマネジメントの「日経225連動型上場投資信託」の手数料をみてみましょう。
- 信託報酬(税抜): 0.24000%
- 委託会社: 0.17000%
- 販売会社: 0.00000%
- 受託会社: 0.07000%
これを見ればわかるように、販売会社の取り分はゼロなのです。ETF を売って販売会社が得るのは、売買手数料だけということになります。
信託報酬のうちの半分近くを占めた販売会社の取り分が無いので、ETF の信託報酬が安くなるのは当然なのです。もっとも、販売会社のメリットが小さいので、あまり積極的に売りたがらないというデメリットもあるようですけどね。
インデックス運用をしているので安い
ETF の信託報酬が安い理由はこれだけではありません。インデックス運用といわれる指数に連動させる機械的な運用をしているので、委託会社の取り分も小さく出来るのです。
機械的な運用なので、人件費が余りかかりません。その分、手数料を安く出来るというわけです。
上で見たように、ゼウスの信託報酬の委託会社の取り分は年0.85%です。それに対して、日経225連動型上場投資信託の委託会社の取り分は年0.17%です。
このように、委託会社の取り分だけを比較してもETF はかなり安いことが分かります。
純資産総額が大きいので安い
最後に、ETF の信託報酬が安いと思われる要因がもう一つあります。それは純資産総額が大きいからです。
純資産総額が大きければ、信託報酬を多少引き下げても、委託会社にとってはそれなりに大きい信託報酬が入ってくることになります。信託報酬を引き下げることで売り上げを伸ばし、結果的にトータルの純資産総額を増やすことも可能です。
ですから、委託会社の営業戦略的な部分もあって、信託報酬を安めに設定している場合もあるのでしょう。
まあ、何にしても、わざわざ手数料が大きい投資信託を選ぶ必要はありません。どうせ選ぶなら、手数料の安いETF を選ぶのは合理的な選択ということになります。
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ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。
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