銀行などに投資信託を売らせるために、販売会社の取り分(信託報酬、販売手数料)が多い投資信託が作られている

投資信託の手数料は高いといわれていますが、その原因の一つが、色々なところが手数料が抜かれるからです。

投資信託には様々な企業がかかわっているので、どうしても手数料が高くなってしまうわけです。多くの企業がかかわるメリットもあるのですけどね。

手数料(信託報酬)はこうやって分配される

もっと具体的に説明しましょう。

投資信託で長期投資をする場合、もっとも大きな手数料は信託報酬です。

信託報酬というのは、日々の運用や投資信託の管理などにかかる手数料だと思ってください。信託財産1 から毎日少しずつ抜かれています。

この信託報酬ですが、実は、3社で分けることになっています。

1つ目が投資信託を設定した投資信託会社です。○○投資顧問のような名前がついていることが多いです。

2つ目が投資信託を販売した銀行や証券会社、生保会社などです。まとめて販売会社と言います。

そして3つ目が実際にお金を預かって、資産の売買などをする信託銀行です。

この3社でお金を分けないといけないので、手数料が高くなってしまうのです。

実際には、信託銀行の取り分はそれほど多くはありません。ですから、投資信託会社と販売会社で信託報酬を分け合う構図になっています。

販売会社に選んでもらうために信託報酬を高くしている?

ところで、投資信託というのは、非常に数が多いですよね。数千本の投資信託が国内にあるはずです。2

ということは、投資信託の販売会社は、すごい数の候補の中から自社が積極的に売る投資信託を選んでいることになります。なかなか大変な作業です。

販売会社の立場からしたら、当然ですが、より儲かりそうな投資信託を売りたいですよね。

販売会社がやっているのは手数料商売です。ということは、彼らにとって儲かる投資信託というのは手数料が高い投資信託ということになります。

つまり販売会社は、信託報酬の中の自分たちの取り分が多い投資信託を売ろうと思うはずです。

もちろん、手数料だけでは無いとは思いますけどね。かなり大きな要素であるのは疑いがありません。実際、パンフレットなどを作って積極的に売っているのは、手数料が高いものが多いですから。

そして、販売会社により多く売ってもらうためなのでしょう。販売会社の取り分をかなり大きくした投資信託を、投資信託会社も設定しているようです。そして、そんな投資信託には、実際に売れているものも多いです。

販売会社の取り分が多い投資信託の1例

実際に、販売会社の取り分がかなり多い投資信託の例をひとつ見てみましょう。

「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」という投資信託があります。かなり売れている投資信託のひとつです。

どのくらい売れているかというと、ETF やMMF、MRF を除くと、全体の5位の純資産総額を持ちます。純資産総額が9,149.88億円という、1兆円に迫る超大型投資信託です。

この「ピクテ~」の販売会社の取り分はどの程度なのでしょうか。信託報酬は年1.1%に設定されているのですが、販売会社の取り分は年0.7%もります。

つまり、信託財産から支払われた信託報酬の6割以上が販売会社の取り分ということになるわけです。販売会社なんて、一旦売ってしまえば、たいした仕事は無いんですけどね。

「ピクテ~」には更に手数料が高い要因も

しかも、「ピクテ~」には、これ以外にも手数料がかかっています。

投資信託を販売したときに、販売会社は販売手数料というものを受け取ります。この販売手数料の上限が、3.5%に設定されている。

つまり、販売会社は3.5%以下なら、自由に販売手数料を取れるのです。100万円分の投資信託を売ると、最大3万5000円の販売手数料を取られるということですね。

もう、販売会社に売ってもらおうと思って、手数料の高い投資信託を作ったのが見え見えです。でも、上に書いたように、実際に売れているんですよね。

具体的な手数料を計算してみましょう

それでは最後に、この投資信託を100万円分買った場合の手数料を計算してみましょう。正確な部分は運用状況によって変わるのですが、概算の数字なら出すことが出来ます。

具体的に計算するために、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」を100万円分買って、その後の基準価額が変化しなかったと仮定しましょう。この場合、販売会社の手数料の取り分はどの程度になるのでしょうか。

まず、販売手数料が3.5%に設定されているので、最大3万5000円の売り上げになります。そして、信託報酬の販売会社の取り分が年0.7%ですから、1年に7,000円の売り上げになります。

ということは、仮に投資家が10年持ち続けると、10万5000円(=3万5000円+7,000×10)もの売り上げになるわけです。投資信託を販売する銀行や証券会社にとっては、かなりおいしい商品であることがわかるでしょう。

逆に私たちの立場からすると、これだけ手数料を取られたら、投資がうまくいく可能性は小さくなりますよね。率直に言って、投資家に有利とは言いがたい投資信託です。でも、かなり売れているわけです。

知らない人は買ってしまうのでしょうが、はっきり言って鴨にされているといっても言い過ぎではありません。


  1. 信託財産:運用してるお金のことです []
  2. 投資信託協会のサイトによると、これを書いている時点では、5,819本もの投資信託があるそうです。 []

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