「短期豪ドル債オープン(毎月分配型)」という投資信託があります。名前から分かるように、先進国の中では金利が高い豪ドルに投資することを考えた商品ですね。
でも、この投資信託の良さがさっぱり分かりません。純資産総額が2,988.60億円という事ですから、意外と人気がある投資信託のようなのですけどね。本当に不思議です。
このページでは、何を不思議に思っているのかご紹介する事にします。投資信託選びで間違えないための一助になれば幸いです。
手数料を見た段階で選択肢から外すべき投信
まず、最初の疑問として、この投資信託は手数料が高すぎるのではないかという点があげられそうです。
この投資信託の目的は次のように定められています。
主として短期豪ドル債マザーファンドへの投資を通じて、オーストラリア・ドル(豪ドル)建ての公社債及び短期金融商品へ実質的に投資することにより、安定した利息収益の確保を目指します。
要するに、豪ドル建ての短期債を買う投資信託という事です。投資信託の名称が示す通りの商品という事ですね。ちなみに、短期債と言うのは期間が1年未満の債券の事を言います。
でも、この投資信託を選ぶというのは、実はかなり問題があるのです。なぜなら、この投資信託の信託報酬は年0.9%もかかるからです。税金を入れると年0.972%です。つまり、毎年投資額の1%近い手数料がかかるわけですね。
それに対して、豪ドルの政策金利は、これを書いている時点では年1.5%です。つまり、政策金利の約3分の2の手数料がかかることになるわけです。
短期債で運用する商品なので、豪ドルベースで見た場合のリターンは1.5%より多少いいという程度でしょう。となると、この手数料がいかに高いかがわかるでしょう。
その上、この投資信託には販売手数料がかかる場合があります。具体的には2%の販売手数料を取っている会社が多く、安くても1.5%に設定している販売会社がいくつかある程度です。これだけでも、この投資信託を候補から除外するには十分だと思うのですが。
というわけで、手数料を見た段階で、選択肢から外すべき投信と考えて良さそうですね。
FXではダメなのか?
率直に言って、この投資信託を選ぶのなら、FXで運用した方がよほどマシです。
というのも、FXでは2つの通貨の金利差に応じたスワップポイントと言うのが発生するからです。このスワップポイントを狙った方が、手数料が安い分、有利ではないかと考えられるのです。
豪ドル/円で豪ドル買いの場合は、豪ドルの方が金利が高いのでスワップポイントを受け取ることが出来ます。これを書いている時点では日本円の政策金利は0%なので、スワップポイントは1.5%にはなるはずです。
投資信託ほどの手数料はかからないので、1.5%に近いスワップポイントを受け取れるでしょう。つまり、FXを選ばない理由が全く思いつかないのです。
FXというとハイリスクというイメージを持っている人もいらっしゃるでしょう。しかし、レバレッジをかけない限り、この投資信託を買うのとリスクは変わりません。しかも、圧倒的に手数料が安いわけですから、この投資信託を選ぶより圧倒的にお得なのです。
手数料の高い不利な投信を選ばされている?
以上のように、短期豪ドル債オープン(毎月分配型)という投資信託を選ぶ理由は、私にはさっぱり分かりません。しかし、この投資信託の純資産総額は約3,000億円と、比較的大きな規模の投資信託です。
率直に言って、かなりの宣伝をしないと、これだけの規模になるとは考えにくいでしょう。つまり、証券会社なのか銀行なのかは分かりませんが、どこかの販売会社がこのあまり有利でない投資信託を必死に売り込んだ可能性が大きいという事です。
金融機関は本当に投資家の事を考えているのか、かなり疑問に思えませんか?
毎月分配型を選ぶ理由が全くわからん
ところで、この「短期豪ドル債オープン」は、毎月分配型の他に年2回決算型があります。しかし、毎月分配型を選んでいる人が圧倒的に多いようです。
これは純資産総額を比べると一目瞭然です。毎月分配型が2,988.60億円とそこそこ大きな投資信託であるのに対して、年2回決算型の純資産総額は32.02億円しかないのです。
つまり、投資信託の規模としては、年2回決算型は毎月分配型の約100分の1しかないわけですね。32億円しか純資産総額がないと、この投資信託に限って言うと、はっきり言って投資信託会社は赤字でしょう。
しかし、率直に言って、投資信託で毎月分配型を選ぶメリットはほとんどありません。というのも、分配金と言うのは運用資産を取り崩して投資家に返しているだけだからです。投資家にとっては得でも損でもありません。
分配金には所得税などがかかることがある分、分配金は投資家にとって損であるという意見すらあるほどです。私自身もそう考えます。
何らかの理由で毎月決まった日に現金化したいという希望があるのならともかくとして、運用資産を毎月減らす理由は一般的にはほとんどありません。つまり、毎月分配型と年2回決算型でこれだけの差が開く理由が考えられないわけです。
とくに、分配金の額を比較すると、毎月分配型が年2回決算型よりも圧倒的に大きくなっています。つまり、自ら運用資金を小さくする方の投資信託を投資家は積極的に選んでいるという事になるわけです。
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投資信託では金融機関はどこを使う?
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ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。
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