いわゆるメガバンクの「つみたてNISA」に対する対応状況はどんなものだろうと思い、ちょっとメガバンク各行のサイトをチェックしてみました。色々と興味深かったので、ご紹介したいと思います。
どうやら、基本的には、メガバンクは「つみたてNISA」には乗り気ではないようですね。しかし、利用できるようにしないわけにもいかないので、かなり知恵を絞っている様子がうかがえました。
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取り扱う投信の本数が少ない
さて、メガバンク各行のサイトを調べてみて、まず驚いたのが、取り扱う投資信託の本数が少ないという点です。3行とも3~4本程度しか用意していません。より正確に書くと、みずほ銀行と三井住友銀行が3本で、東京三菱UFJ銀行が4本です。
これに対して、例えばネット証券であるSBI証券は、106本の投資信託が対象になっています。私が数え間違えていなければですけど。
メガバンクのやる気のなさがよく分かりますね。もともと取扱う投資信託の本数は、銀行はネット証券各社にはかないませんでした。それにしてもねえ。
やる気のなさだけが原因ではないのか?
実は、メガバンクの取扱い本数が少ないのは、やる気が無いというだけの理由ではありません。少しでも儲けようという苦肉の策の可能性もあります。これは後半で。
ラインナップは国内株インデックス、外国株インデックス、バランス型
ちなみに、3本ないし4本のラインナップですが、国内株式のインデックスファンドが1本、外国株式のインデックスファンドが1本ないし2本、バランス型が1本という構成でした。これも3行とも似通っています。
一応、それぞれの銀行がどんなファンドを用意しているのか、名前と基本データを挙げてみましょう。
国内株式のインデックスファンド
■ 国内株式
- 東京三菱UFJ:つみたて日本株式(日経平均) ─ 日経225に連動、販売手数料:なし、信託報酬:年0.1944%(税込み)
- 三井住友:三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド ─ TOPIX に連動、販売手数料:なし、信託報酬:年0.1728%(税込み)
- みずほ:たわらノーロード 日経225 ─ 日経225に連動、販売手数料:なし、信託報酬:年0.1836%(税込み)
3行での大きな違いとしては、三井住友銀行だけはTOPIX に連動するインデックスファンドという点でしょうか。個人的にはこの点は評価するので、国内株式で選ぶと三井住友ですね。
外国株式のインデックスファンド
■ 外国株式
- 東京三菱UFJ:つみたて先進国株式 ─ MSCI コクサイ・インデックスに連動、販売手数料:なし、信託報酬:年0.2160%(税込み)
- 東京三菱UFJ:つみたて新興国株式 ─ MSCI エマージング・マーケット・インデックスに連動、販売手数料:なし、信託報酬:年0.3672%(税込み)
- 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド ─ MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動、販売手数料:なし、信託報酬:年0.27%(税込み)
- みずほ:野村つみたて外国株投信 ─ MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動、販売手数料:なし、信託報酬:年0.2052%(税込み)
この4本を選ぶポイントは、どの指数に連動したインデックスファンドを選ぶかでしょう。個人的にはエマージングはハイリスクだと思っているので、東京三菱UFJ銀行の「つみたて先進国株式」がいいのではないかと思います。
バランス型の投資信託
■ バランス型
- 東京三菱UFJ:つみたて8資産均等バランス ─ 日本を含む世界各国の株式、公社債および不動産投資信託証券市場の値動きに連動、販売手数料:なし、信託報酬:年0.2376%(税込み)
- ブラックロック・つみたて・グローバルバランスファンド ─ 国内外の債券および株式ならびに海外の不動産投資信託証券(REIT)を主な投資対象、販売手数料:なし、信託報酬:年0.6302%(税込み)
- みずほ:たわらノーロード バランス(堅実型)/(標準型)/(積極型) ─ 国内および海外の債券・株式・リートの8資産を対象、販売手数料:なし、信託報酬:年0.2376%(税込み)
バランス型は、複数のインデックスファンドを組み合わせたものになっています。おそらく、アクティブ運用のバランスファンドは、手数料が高くなって、「つみたてNISA」の基準には合わないのでしょう。
ちなみに、個人的には、つみたてNISAに関しては、あまりバランス型は選ばない方が良いと思っています。ですから、特にお勧めというものはありません。まあ、買いたい人は、お好きに選んでください。まあ、敢えて言うと、手数料が高い「ブラックロック・つみたて・グローバルバランスファンド」は避けておいた方が良いかな。
運用会社の選択に意図がありそうです
「つみたてNISA」で取扱う投資信託の本数が少ない原因は、銀行がやる気がないというだけではないようです。2つほど合理的な説明が考えられます。
条件が厳しくて投資信託を増やしづらい
まず一つは、「条件が厳しくて本数を増やしにくい」という理由はありそうです。「つみたてNISA」では、アクティブファンド以外は、株式を運用対象として含んでいないといけません。ですから、インデックスファンドを選ぼうと思うと、株式の投信かバランス型になってしまうのです。
もっとも、この説明には、ちょっと説得力に欠けます。というのも、例えば日本株だったら、日経平均のインデックスファンドとTOPIX のインデックスファンドが選べるからです。片方しか用意しないのは、やっぱり、やる気のなさと言われても仕方が無いでしょう。
海外の指数だったら、さらにたくさん選ぶことが出来ます。
自社に都合が良い投信を選んでいませんか?
もう一つ考えられるのが、「銀行にとって少しでも有利になるように、投資信託の運用会社を選んでいる」という疑惑です。
投資信託の手数料である信託報酬は、販売会社と運用会社で分けられます(正確に書くと、信託銀行にも少し取り分がありますが)。販売会社というのは、この場合は銀行ですね。運用会社は、文字通り投資信託の運用を行う会社です。
こういう構造であるということは、運用会社が販売会社と同じグループであれば、グループとしては2倍手数料が稼げることになります。そして、メガバンクの「つみたてNISA」では、自行と資本関係がある運用会社を採用しているケースが非常に多いのです。
例えば、みずほ銀行は「たわらノーロード 日経225」という投資信託を採用しています。この投資信託の運用会社は、アセットマネジメントOne という会社です。
一見みずほ銀行とは何の関係もなさそうですが、よくよく調べてみると、この会社の株式の70%を持っているのは、みずほファイナンシャルグループです。つまり、みずほファイナンシャルグループとしては、販売会社と運用会社の両方から利益を得られる構造になっているわけです。
「つみたてNISA」は、金融機関にとってあまり旨味のない仕組みです。なぜかというと、手数料が安い投資信託が多いので、売っても儲けにならないのです。「つみたてNISA」を売るくらいなら、通常の投資信託の販売に力をいれたいというのが、金融機関の本音でしょう。
とは言え、メガバンクがこの制度をやらないわけにも行きません。そこで考えた苦肉の策が、運用会社の手数料も取るという作戦でしょう。
まあ、運用会社の手数料が入ったところで、メガバンクにはおいしくない商品ですけどね。手数料が安すぎて。
とにかく、取り扱う投資信託の本数が少ない裏には、銀行にとって都合のいい運用会社以外は選べないという事情もありそうです。
結論:
やっぱり、メガバンクは、「つみたてNISA」に対して積極的じゃないんだろうなあ。苦肉の策として、現在の選択をしていると思われる。
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タグ: つみたてNISA, メガバンク, 販売会社, 運用会社
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