外貨建ての金融商品というと、外貨預金を思い浮かべる人が多いのでしょうか。
かつて米ドルの金利が高い時には、外貨預金がかなりのブームになりました。一時期下火になった印象ですが、ここ数年、また人気が出てきているようですね。
ただ、ある程度金融の知識がある人が見ると、外貨預金は個人投資家にとって非常に不利な商品であることが分かります。言葉は悪いですが、外貨預金をする人は、金融機関にとってのカモと言っても良いくらいなのです。さらに悪い言い方をすると、詐欺まがいの商品にすら思えます。
率直に言って、外貨預金をするくらいなら、思い切ってリスクを取って外国株でも買った方がマシです。というのも、外貨預金は、ハイリスク・ハイリターンなのです。それだったら、ハイリスク・ハイリターンの株式の方がマシというわけですね。
さすがに個別株はハードルが高いでしょうが、外国株の投資信託やETF なら、投資経験が浅い人でも選択は簡単でしょうからね。ちょっとしたアドアイスがあればですけど。
外貨建てMMF は外貨預金に似ているが
ところで、外貨預金に似た金融商品として、外貨建てMMF があります。商品の性格としては非常によく似ているのですが、有利不利でいうとかなりの差があります。外貨建てMMF の方が外貨預金よりもかなり有利なのです。
外貨での運用をしてみたいけど、株式はちょっと怖いという人は、外貨建てMMF を使って運用することをお勧めします。
それでも有利不利でいうと、やっぱり外国株の投資信託の方が良いんですけどね。為替のリスクがあるので、外貨建てMMF のリスクが特に小さいというわけでもありませんから。
でも、株式を使った金融商品はちょっと怖いという人がいることも分かっています。株式という言葉に過剰反応を示す人もいますからね。そういう人には、次善の策ではありますが、外貨建てMMF が良いかなあと思うわけです。
逆に言うと、それぐらい外貨預金が酷いとも言えます。
外貨預金と外貨建てMMF を比べてみましょう
それでは、外貨預金と外貨建てMMF の利率はどの程度違うのでしょうか。具体的に比較をしてみましょう。ちなみに、MMF というのは普通預金のような商品なので、外貨建てMMF と銀行の外貨普通預金を比較することにします。
さて、2017年11月15日現在の、SBI証券と野村証券の外貨建てMMF と、大和ネクスト銀行と東京三菱UFJ銀行の外貨預金の利率は、次のようになっています。
もう、有利不利は一目瞭然でしょう。これを見ると分かるように、利率にかなりの開きがあります。
特に米ドルの場合は、SBI証券と東京三菱UFJ銀行で5倍近く違います。トルコリラの利率の差も、かなりヤバいレベルですね。
このように。外貨預金というのは、類似の外貨建てMMF と比べても明らかに不利な金融商品なのです。特に、メガンバンクで外貨預金をするなんて、愚の骨頂です。
ネット銀行である大和ネクスト銀行の利率はまだマシですけどね、それでもMMF には及びません。
ちょっと意外だったのが、ニュージーランドドルと豪ドルの利率で、野村証券の方がSBI証券よりも良かったという点です。これは、野村証券が選んだ運用会社が正解だったのでしょうね。まあ、これは余談ですが。
スプレッド(為替の手数料)も比較してみよう
さて、外貨建て商品では、もう一つ確認しないといけない点があります。スプレッドと呼ばれる為替の手数料です。日本円を外貨、あるいは外貨を日本円にするときに、毎回手数料を取られると考えると分かりやすいでしょう。具体的にどの程度取られるかというと、次のようになっています。
これは片道のスプレッドです。片道というのは、日本円を外貨にする、あるいは外貨を日本円にするという意味ですね。その時に、外貨1単位に付き(例えば1ドルとか1ユーロにつき)このくらいの手数料がかかるわけです。
これを見ると分かるように、東京三菱UFJ銀行の東京三菱UFJダイレクト(ネットバンキング、モバイルバンキングの口座)はスプレッドが小さいようです。米ドル/円だとSBI証券と同じ水準ですし、豪ドル/円だとSBI証券よりもスプレッドが小さいようです。
もっとも、そもそも利率が低いので、利用価値はありませんけどね。それ以外では、やっぱり、外貨建てMMF の方が良いようですね。スプレッドを考慮しても、結果が覆ることはありませんでした。
FXの方が優れている
このように、基本的には、外貨預金に比べて外貨建てMMF は有利です。しかし、現状(2017年11月現在)だと、実は、スワップポイントを狙ってFXをやる方が有利なのです。
話がそれますから、ここでは詳しくは説明しませんが。興味がある人は調べてみてください。
最後にもう一度整理しておくと、外貨建て商品を買うなら株式に投資する投資信託(ETF を含みます)を買うことを一番お勧めします。ただ、外貨預金などと比べるとリスクは大きいです。
リスクを取るのが怖いという方は、スワップポイントを狙ってのFXということになります。そして、FXが難しければ、外貨建てMMF という順番でしょうか。外貨預金は順番的には最後の最後です。普通は外貨預金の順番は回ってきません。
もっとも、FXにしろ外貨建てMMF にしろ、論理的には、リスクを上回るリターンがあるわけではありません。国内にしろ外国にしろ、株式の投資信託を買うのが怖ければ、10年物の個人向け国債でもおとなしく買っておいた方が、本来は賢い選択です。
夢も希望も無い話で申し訳ありませんけど。事実なので仕方がありません。
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ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。
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