銀行で投資信託で運用するイメージってこんな感じ| そうとう悪いようです

銀行で投資信託で運用することに対するイメージを、ネットから拾ってみました。率直に言って、イメージはかなり悪いようです。

もっとも、誤解や偏見がかなり多いことが分かります。

銀行で投資する個人投資家の半分は損をしている

2018年7月に、銀行で投資信託を買って運用している人は、約5割が損をしているという記事がありました。1 これに対して金融庁が、銀行の顧客軽視の姿勢を厳しく指摘しています。

これに関するネットの反応が面白かったので、いくつかご紹介したいと思います。2 その上で、コメントに対する賛同なり批判なりをしたいと思います。

投資信託に対するマイナスのイメージを持っている人がいることが分かります。かなり勘違いや思い込みも多いんですけどね。

銀行が扱う投資信託に対するネットの感想

それでは行ってみましょう。

■ 商品リスクは客が全て被り、銀行は手数料収入を確実に受け取るだけ。なんとも阿漕な商品ですね。

これに関しては、前半はその通りですね。運用で失敗しても、金融機関が損をするわけではありません。

正確に書くと、運用に失敗して資産が減るとその分手数料も減るので、金融機関にとっても失敗はマイナスなんですけどね。ただ、金融機関としては運用に失敗しても一定の収入はあるという事ですね。マイナスになる投資家とは違います。

ただ、これが、阿漕かといわれると、必ずしもそんなことは無いでしょう。だって、嫌なら買わなければ良いわけですから。

運用が信頼できないなら買わない自由が個人投資家にはあるわけです。ですから、金融機関にとって悪くないビジネスとは言えても、「阿漕」まで言うと言いすぎかなと思ってしまいます。

■ 銀行には預金残高まで知られている。そんな、銀行からの投資信託の勧誘には恐怖を感じる。

この指摘は面白いですね。

確かに、銀行は私たちの預金を完全に把握しています。少なくともその銀行の預金になっている部分は。

実際、銀行としても、投信の営業を掛ける時に残高情報は利用しているはずです。

だって、100万円しか預金が無い人に、どんなに頑張って投信を売っても100万円しか売れませんからね。しかし、10憶円の預金がある人なら、預金の1%だけ投資信託を買ってくれただけで1,000万円です。

どちらの方に手間と暇を掛けて営業するかは、明らかでしょう。

■ (色々書いてあった後に)銀行の営業の誤算は私が仮にも大学院を出ていたこと。チャート分析をやれば一発です。大まかな流れさえ掴めば、結果損をせずに済みます。

これ、ちょっと笑ってしまいました。

大学院を出たのがご自慢のようですが。どんな教育を受けたのでしょうか。チャート分析なんてオカルトだって言う人すらいるくらいなんですけどね。

そもそも、チャートごときで将来の株価が分かれば、今頃株式で儲けている人はもっと多いはずです。たぶん、過去にたまたま上手くいった経験があるのでしょうね。

そもそもチャートで将来が分かるなら、金融機関は人に投資信託なんて売らずに、自分で運用して儲けるでしょう。チャートで未来が分かるなら、そっちに労力を割くはずです。

それに、コンピュータを使えば、更に将来予測の精度が上がるはずですよね。でも、そんな投資の成功率が高いプログラムが開発されたなんて話は、聞いたことがありません。

でも、こういう人って意外と多いんですよね。チャート万能論みたいな人。

■ 金融機関にとって、客はただのカモです。

投資信託という商品の特徴は、個人投資家から毎日、信託報酬という手数料を取れるという点にあります。その意味では、カモと言うよりも、毎日お小遣いをくれるオジサンやオバサンくらいの感覚では無いでしょうか。

本気でカモにする気なら、金融機関にはもっと手数料が高くてエグい商品がたくさんあります。

■ そのカモが初回購入5,000円の商品券に釣られて買ってしまう。結局、儲けはなく、手数料のその何百倍の手数料だけが取られている

一つ上のコメントを受けてのコメントです。

銀行が取る投資信託の営業モデルは、商品券というよりは、有利な定期預金で釣るという方法です。「1年だけ金利が良い定期が組めます」とかで、投資信託の顧客を集めてくるわけです。

こうすると、新たな口座が獲得でき、預金も集まる上に、手数料が高い投資信託も売れるわけですね。一石二鳥どころか三鳥です。

しかし実際には、定期預金の金利よりも高い手数料を投資信託から取れる構造になっています。まあ、その意味では、このコメントは大筋では間違ってはいません。

でも、さすがに、何百倍もの手数料を取られるという事はありません。どのくらいの期間投資するかにもよりますが、せいぜい数倍といったところでしょう。

それに、「儲けはなく」というのも、確定しているわけではありません。実際、金融庁の調査でも半分は儲けていたわけですから。多かれ少なかれ儲かっている人はいます。

もちろん、もっと有利な投資があるんのですけどね。有利な投資ができなかったからと言って、儲かっていないわけでもありません。

まあ、ちょっと、勢い余ったコメントという感じでしょうか。

■ 元証券マンです。株式などは全てギャンブルです。

本当か嘘かはわかりませんが、元証券マンさん。この方がいた証券会社では、いまだにこんな感じなのでしょうか。

株式投資にギャンブル的な要素があるのは、確かにその通りです。でも、通常のギャンブルとはちょっと違うんですよね。

通常のギャンブルでは、親の取り分がある分だけ負ける人がいます。でも、株式投資の場合は、確率的に見れば、儲かると考えられているのです。

なぜかというと、基本的には、会社と言うのは価値を増していくものだからです。そうじゃなければ、企業努力をする意味がありません。

普通のギャンブルはゼロサムと言って、誰かが勝つと誰かが負けるようになっています。さらに親の取り分があるので、トータルとしてみると参加者は必ず負けます。

しかし、株式投資の場合はそうでは無いわけですね。

実際、世界的に見れば、株価と言うのは長期的には上がっていっています。

■ 明日の事が分からない世界だから、当たるわけない。

この指摘も良い指摘です。明日の株価なんてあたりっこありません。確かにその通り。

実際、毎朝、株式関係の番組で、アナリストなる人たちが偉そうに予想しています。でも、かなり高い確率で外していますね。

次の日に、前日予想の答え合わせをやればいいんですよね。そうすれば、アナリストの予想がいかに出鱈目か分かるでしょう。

でも、短期的な値動きなんて、そもそもあてる必要は無いのです。上に書いた通り、株式は長期的には上がっていくのですから、買って持っていれば良いわけです。株式に投資する投資信託でも同様です。

短期的な値動きをあててやろうと思うから、話が難しくなってしまうわけです。

■ 個人的には不動産以外は一切投資はしなかった。

へえ。

■ 不動産も株もリーマンショックが買い時で、今は売り時です。

こういう事を後から言う人って、必ずいますよね。確かに、後から振り返れば、リーマンショックの時に買っていれば大きく儲けることが出来ました。

でも、多くの人は、そうやって儲けるのは無理なのです。なぜなら、そもそもみんなが売っているから株価が下がったからです。

下がった時に買うというのは、一見簡単な事のように感じます。でも、実際にできる人が少ないから株価は下がるのです。

それに、もうこれ以上下がらないと思って買ったら、さらに下がることもありますしね。簡単な話ではありません。

こういう偉そうな後知恵が、一番達が悪い。

■ そもそも銀行員で投資信託を買っている人はいるの?確定拠出年金でさえ、安全な預金運用しか選ばないという噂を聞いたんだけど。

どこの噂でしょうか。ものすごく偏った話を聞いてきただけのような。

これ以上、コメントが難しいですね。

■ 投資家が「投資信託を買ったタイミング」が悪かっただけ。直近数年の利回りが良くて買ったのであれば、それは直近数年株価が大きく上がり続けたということ。ということは、それ以上はほとんど上がらないか、むしろ下がる。つまり、儲からない。
同じ投資信託を、2008~2012年頃に買った場合と、2015年以降に買った場合では、結果は大きく異なるはずだ。

こういう意見も時々聞きますね。上がり続けたら買ってはいけないというような意見。

でも、上がっているときって、どこまで上がるか分からないんですよね。そろそろピークだと思ったら、そこからさらに倍になるなんてこともあり得ます。

基本的に、将来の株価予想は不可能だと思っておいた方が良いのです。チャートで予想するのは無理です。

上がれば下がる、下がれば上がるのはその通りですが、どこまで上がるか、どこまで下がるかはなかなか分かりません。

■ 普段相場に張り付いて見てる証券会社でも運用に失敗する。銀行が投資信託を勧めるのにそもそも無理がある。

あ、これは典型的な誤解ですね。

金融機関には自己売買部門があり、短期で売買をすることがあります。その彼らですら運用が上手くいかないこともあります。

ただ、彼らがやっているのは投資ではなく投機です。売りのタイミングと買いのタイミングで勝負をするゲームですね。

それに対して、投資信託と言うのは、勝ってから放置しておけばいい投資です。全然違うものなのです。

ですから、銀行が投資信託を売るのは、必ずしも間違いではありません。ただ、銀行で売っている投資信託は手数料が高いことが多いので、注意が必要なのです。

■ 自分で調べれば、投資信託なんて馬鹿らしいとわかるはず。老後の虎の子を狙われているのは哀れ。

これも誤解ですね。

投資信託と言う商品は、分散投資ができる優れた金融商品です。長期投資には一番いい商品と言っていいでしょう。

ただ、投資信託にも良い投資信託と悪い投資信託があるのです。そして、銀行が売りたがる投資信託は悪い投資信託が多いという事です。

本当に調べたのか、かなり疑問です。

■ 先日、地方銀行でiDeCoの話を聞かせてと言ったら、投資信託ばかり勧めてきた。iDeCo より投資信託の方が手数料が多く入るからなんだろうな。

iDeCo は個人投資家にとって非常に有利です。節税に使えるというのもありますが、iDeCo で投資できる投資信託は、手数料が安いものが多いのです。

手数料が安いということは、逆に地方銀行にとっては、デメリットが大きい商品という事も可能です。投資家が投資している額の割には、儲かりませんからね。

ですから、iDeCo の話を聞きに行ったら、投資信託を勧められるというのは珍しい話では無いでしょう。似たような話で、個人向け国債を買いに行ったら、投資信託を勧められたなんて言うのも聞いたことがあります。

また、もう一つの可能性として、その地方銀行でiDeCo をあつかっていなかったのかもしれません。iDeCo の取り扱いがある地方銀行は、実はそれほど多くありませんから。

そもそも商品として取り扱っていないから、答えようが無かったのが真相のような気もします。

■ iDeCo の手数料もそれなりに高い。あれこそ、誰得って感じ。投資信託とか株の方がマシ。

ネット情報にありがちな、思い込みとか知ったかぶりですね。こりゃ酷い。

一般に、iDeCo で扱う投資信託の手数料は安いことが多いです。節税のメリットも大きいので、有利なケースの方が多いでしょう。

ただ、iDeCo の場合は、口座管理料に相当する手数料を取られることがあります。ネット銀行以外の銀行の場合、これが高い可能性はあります。

また、iDeCo で採用する投資信託は、それぞれの金融機関が決めています。ですから、その金融機関が手数料の高い投資信託を選んでいることも考えられます。

しかしながら、iDeCo が有利なのは疑いのないところです。

■ 根本的にはお金大好きな国民性だと思う。そこを狙われる。

逆に、お金が大好きじゃない国民の多い国ってあるのでしょうか。ちょっと笑ってしまいました。

日本の事を悪く言いたがるタイプの人かな。

■ 客も勉強もせず、時間も掛けず、リスクも取らずにプロが勝手に稼いでくれるなんて考えが甘いんだよ

これはおっしゃる通りです。でも、投資信託を買っている時点で、リスクだけは取っているんですよね。

■ 単に、みんな長く持ちすぎだと。相場って、基本的にババ抜きだからね。

商品先物などで投機をした経験がある人は、こういう発想をするようですね。こういう意見は、聞いたことがある人もいるでしょう。

でも、上にも書きましたが、株式というのは基本的には上がっていくものです。ですから、長く持つ方が理にかなっています。時間が味方になるのです。

細かく売買して手数料を払うのは、負ける人の戦略です。特に、株式投資より手数料が高い投資信託だと、かなり不利です。

■ 長期だろうが、短期だろうが、買い時、売り時が全て。

これは間違い。

高い時に買っても、長期で分散がされていれば、そうそう損をするものでもありません。繰り返しますが、株価と言うのは長期的に上がっていくものですから。

投資で大事なのは、タイミングよりも分散です。

■ ネットも無かった昔と違って、簡単に調べられる今の時代に情弱なのが悪い。

おっしゃる通りです。


  1. 投信で損失、個人の半数/過度な分配金や短期の売買あだ 金融庁「成績比べる指標を」
    日経新聞 2018/7/5付 []
  2. 基本的に、そのままコピペではなく、近い趣旨になるように書き直しています。 []

投資信託での資産運用を考えるなら、その前にiDeCoの検討を

投資信託での運用を考えているあなた。その前にiDeCo は活用していますか?

iDeCo なら、投資信託を使った資産運用ができる上に、有利な節税の仕組みもあります。条件が整えば、年間数十万円単位の節税になる人もいます。この有利な仕組みを使わない手はないでしょう。

ちなみに、手数料等を考慮すると、iDeCo の窓口金融機関にはネット証券がお勧めです。興味がある方は資料請求から。

投資信託では金融機関はどこを使う?

投資信託を使って資産運用をするならSBI証券がおすすめです。取り扱い本数が2,500本以上とかなり多く、顧客満足度も高い証券会社だからです。

投資信託の積立をして長期的な資産形成をする場合も、やっぱりSBI証券が良いでしょう。銀行や信用金庫からの自動引き落しに対応していて、とても便利です。月々100円から積立てられるのもメリットですね。

ETF を選ぶ人は手数料にこだわっている人が多いはずです。もしそうなら、証券会社に支払う売買手数料にもこだわるべきですよね。大手証券会社の窓口なんかで買ったら、手数料が高くなって本末転倒です。

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